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りかさん (新潮文庫)

りかさん (新潮文庫)

りかさん (新潮文庫)

作家
梨木香歩
出版社
新潮社
発売日
2003-06-28
ISBN
9784101253343
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りかさん (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

梨木作品ではもう何度目かなのだが、これこそが彼女の最高傑作だと思うのだ。ただ、これまではそれが読了後にだったのが、今回は読んでいる途中から、しきりにそうした思いを持った。しかも、思わず何度も声が漏れるほどであった。とりわけ、それまでかたくなに沈黙を守っていた汐汲の第一声「動けば汐がかかるじゃろう。汐がかかれば切なかろう」には戦慄が走った。まさしく驚嘆すべき想像力だ。アビゲイルの悲しみも深いが、それを噛みしめ続けて来た、汐汲のそれはさらに切なく心に沁みる。

2012/07/03

さてさて

人形たちと触れ合う主人公・ようこの摩訶不思議な体験が描かれるこの作品。そこには『りかちゃんは祈る力のある人形なのだ』という主人公・ようこと共にある「りかさん」の存在がありました。『その存在自体、不思議の固まりのようなりかさんが不思議だと言うのを聞くのは、とても不思議な気分だった』といった絶妙な言い回しの数々にも強く魅かれるこの作品。不思議世界を当たり前の感覚の中に描くことで不思議感がさらに強調されもするこの作品。和風ファンタジーの魅力溢れる世界にどっぷりと浸らせてくれた、梨木香歩さんの絶品だと思いました。

2022/11/05

風眠

再読。この物語の「ようこちゃん」は『からくりからくさ』の容子さんで、さらに『からくりからくさ』の後日譚、愛憎と母性がテーマの『ミケルの庭』が併録されていて、二冊合わせてひとつの物語だったんだなと気づく。これぞ再読の醍醐味!リカちゃん人形が欲しいと頼んだのに、おばあちゃんがくれたのは市松人形。ようことりかさんの出会いと、古い人形に宿る記憶を描いた『養子冠の巻』。親善大使としてやって来た青い目の人形が、日米開戦後に辿った悲惨な運命を描いた『アビゲイルの巻』。人形を通して、この世の哀しみや不条理を説いている。

2015/03/13

数日間に渡ってじっくり味わって読んだ。想像以上に奥深い、人間の業や悪意と哀しみ、喜び、人形の純粋でせつない想いが描かれており、読みながら時々自分の呼吸が止まってるのに気づいたほどだった。アビゲイルのくだりが辛すぎる。また、ようこの祖母の言葉には深く共感するものばかりで。それは自分も人形を創作したりコレクションしているからかもしれない。書き下ろしの『ミケルの庭』はようこの10数年後が描かれるが、人形と赤ちゃんの共通項にハッとさせられた。そして梨木さんの描かれる「庭」はいつも、確実に異界との繋がりがあるよね。

2014/04/14

SJW

前半が「りかさん」で「からくりからくさ」の蓉子の幼少期の話で、アンティークな市松人形「りかさん」との出会いとアンティーク人形に関わる因縁をようこがりかさんとおばあちゃんで解決していく和風ファンタジー。「青い目をしたお人形」の悲しい事実も載せられていて初めて聞いた話に驚いた。下鴨アンティークやあやかし物語のアンティーク人形版かな。「からくりからくさ」ではりかさんと蓉子の不思議な会話はあまりなかったが、今回は因縁解決の良き相棒として活躍してくれて、とても楽しめた。後半「ミケルの庭」は「からくりからくさ」(続)

2018/05/01

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