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春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

作家
梨木香歩
出版社
新潮社
発売日
2006-02-28
ISBN
9784101253367
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春になったら莓を摘みに (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

この人の作品は、どちらかと言えば物語の方が好きなのだが、こんな風なエッセイも捨てがたい魅力がある。ほんとうに感性が豊かな人なのだろう。今回は、いわゆる「異文化接触」が基調テーマなのだが、彼女が最初に巡り合った、ウェスト夫人とS・ワーデンのコミュニティの人々は、最良の英国であったように思う。ことにウェスト夫人は、彼女の物語作家としての師でもあり、この出会いがなければ、今の梨木香歩はなかったかも知れない。このエッセイの読後感は、ウェスト夫人を核とした、連作の小説を読んだかのようだ。

2012/06/23

風眠

「そうだ。共感してもらいたい。つながっていたい。分かり合いたい。うちとけたい。納得したい。私たちは本当はみな」帯でも紹介されているこの文章に光が見える。それは生きていく道の先にある光。人の中で生きるのは大変な事もある。けれどお互いに「理解できなくても、受け容れる」努力をすれば、この世界はきっと光に包まれて優しくなれる。簡単な事じゃない。いろんな人がいる。人は長所・短所を合わせ持っているから人間なのだ。それは私も同じ。著者の人への眼差し、優しさが見え隠れする洞察力、私の心にいつも置いておきたい一冊になった。

2016/12/16

SJW

梨木さんが学生時代にお世話になった英国の下宿の女主人「ウェスト夫人」と彼女に関わる様々な人々にまつわるエッセイ。出てくる地名や登場人物の名前から、自分が初めての外資系に入社した時のことを思い出した。上司となるカナダ人と面接した時はよく英語が分かり、これなら外資で生きていけるかと思った。入社した後、隣の席のオックスフォード出のジョナサンと話をしたら、何を言っているのか分からず焦った。近くの席のケムブリッジ出のアンディに聞いたら、英国の上流階級の話し方だという。その他にアメリカ人3名、香港出身の中国人(続く)

2018/09/05

さてさて

直前に「村田エフェンディ滞土録」を読みましたが、舞台となる国は違えど異国を表現する感覚に両者の中に似たような雰囲気感を感じました。観光するだけでなく異国で生活する感覚、すれ違うだけでなく異国の人と交流する感覚、そして感じるだけでなく異国を理解しようとする感覚。「滞土録」のあの異国留学の奥深さはこのエッセイの先にあった世界なのだととても納得しました。 梨木さんの独特な世界観から生まれる作品たちが根差す土壌の感覚に少し触れることができた、そんな印象を受けた作品でした。

2020/09/23

♪みどりpiyopiyo♪

忘れないでいて。かけがえのない場所、かけがえのない人のことを。■「私」が学生時代を過ごした英国の下宿の女主人ウェスト夫人や彼女を巡る人々との日々。野生の生き物や自然に向けられる視線も好き。■時に戸惑い、「違い」に立ち止まりつつも、安易に否定せず受け入れる。思索とは、対話とは、こーいうことなのでしょう。■柔らかで 清冽で 強靭で。優雅で気品があり厳粛で、和やかでいて孤独。内省的な深い洞察と生き生きとした身体感覚。一つ一つのエピソードが宝物の様に感じられました。(2002年。2006年 加筆し文庫化)(→続

2017/03/16

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