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渡りの足跡 (新潮文庫)

渡りの足跡 (新潮文庫)

渡りの足跡 (新潮文庫)

作家
梨木香歩
出版社
新潮社
発売日
2013-02-28
ISBN
9784101253404
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渡りの足跡 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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SJW

2011年の読売文学賞(随筆・紀行賞)受賞作品。梨木さんの珍しい自然記述作品。渡り鳥を追いかけて網走湖、チミケップ湖、知床、諏訪湖、カムチャッカを訪れバードウォッチングをしながら、渡り鳥の行き先や経路を数々の情報から考察を重ねている。梨木さんは鳥好きと言うより学者レベルの鳥類の専門家ということは知らなかった。渡り鳥は鳥インフルエンザをもたらす疫病神と思っていたが、この本で渡りが命を懸けた危険な行動であることを知ると、鳥を見つけると渡り鳥かを考えるようになった。

2021/02/05

mocha

一字一句読み飛ばせない、みっしりと詰まった文章。鳥や植物、地名を検索しながら読んだのでけっこう時間がかかった。このさして厚くもない本の向こうに梨木さんが費やした時間、移動距離、労力はどれほどだったろう?そして想像もつかないほどの出会いや感動があったに違いない。その行動力と洞察力に感服する。自然界は知れば知るほど神秘的だ。本文もよいけれど、生き物の註釈がとても興味深かった。

2016/11/07

jam

再読。夏の終わり、白樺峠でタカの渡りが始まる。サシバやハチクマ、ノスリが上昇気流に乗り滑空する「タカ柱」は圧巻だ。翔ぶ彼らを見るにつけ、北海道から嫁ぎ、病床の空に「鳥になりてぇ」と呟きながら、ついぞ帰ることなく逝った祖母を思い出す。梨木は、案内人に導かれ鳥の生態観察の旅をする。そして、鳥が自分の中にある星空により定位することに「案内するものは自分の内にある」と書く。軽々と境界を超える彼らに人を重ね、人も、還りたい場所へ帰ると筆をおく。たとえ今生で叶わなくとも、祖母の魂も懐かしい故郷へ帰ったに違いない。

2019/04/10

KAZOO

梨木さんの、渡り鳥を追っての紀行文学です。自然を描くのが非常にうまいですね。それとともにかなりこのようなことになると行動力というのが出てくるというのかよく準備もされていて感心します。鳥に関する註がまた読ませてくれます。鳥ばかりではなく、トガリネズミまで詳しく書かれています。

2015/07/10

chantal(シャンタール)

地図を片手に鳥達の足跡を追ってみる。こんな長距離を、しかも危険に満ちた旅を何故鳥達はするのか。毎年冬になると近くの田んぼにやって来る白鳥達もこんな風に大空を渡ってくるのだなあ。「渡り」の足跡を辿りながら、話はいつか移民としてアメリカへ渡って行き、戦中辛酸を味わった人々や知床の開拓団へも展開して行く。毎年決まった時期に海を渡り日本へ帰る私も「渡り」なのだ。「ここではない、もっと違う場所へ、という衝動」に突き動かされ、「帰りたい」という衝動の元に飛ぶ。私の心はオオワシになって大空へ舞い上がる、そんな気持ち。

2020/06/08

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