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不思議な羅針盤 (新潮文庫)

不思議な羅針盤 (新潮文庫)

不思議な羅針盤 (新潮文庫)

作家
梨木香歩
出版社
新潮社
発売日
2015-09-27
ISBN
9784101253411
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不思議な羅針盤 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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やすらぎ

居心地のいい場所を探して。なんとなくここは好き。そんな場所を。春。この星に蒔かれた種が芽生えている。ひっそりと根を張っている。今年もまたその美しさに満たされる幸せ。森も生きている。生き物それぞれの思いが複雑に錯綜して重なり合い、一瞬接触しては離れ、また遠く隔てる。刻一刻と様相が変わっていく。これをきっと世界と呼ぶのだろう。…そこに人間も存在している。不思議な羅針盤は何処に連れていくのだろう。昼も夜も眠り続ける、現実逃避は夢の中だけで終わればいいのに。今宵だけでも喧騒の世界から脱して月明かりを眺めていたい。

2022/03/17

しんごろ

タイトルに惹かれて買ったら、まさかのエッセイ!苦手なんだけど買った以上は読まなきゃと、読んでみたら、なかなか良かったです。金銭と共にやり取りするもの、個性的なリーダーに付き合う、『西の魔女が死んだ』の頃が、ためになったというか、良かったというか、勉強になりました。まさに羅針盤ですね(^^;)

2015/11/24

アン

楚々とした草花に心を寄せ、野鳥に慈しみの眼差しを向け、森に抱かれる幸せ。五感を世界の風に開いて。身近な自然との触れ合いから、日常の生活や人との距離の取り方を見つめ、心のありようを綴られています。風通しの良い緩やかに結ばれた人間関係、誠実な所作、周りの気配と調和…。日々を丁寧に、他者を思いやりながら、自分らしく生きるための大切なメッセージが散りばめられ、戸惑う私の背中を押してくれるようです。静かに、優しく、光ある場所へと。「万華鏡」のような28のエッセイ。

2019/08/02

ふう

梨木さんの作品を読み重ねるたびに、梨木さんの中にある「野生」を感じます。植物が発する生命力、風が運んでくる遠い国の香り、目を合わせて向かい合う人の温もり…。力を抜いて大地に体を預け、心を柔らかくしていないと感じられないようなものを感じとる、繊細で静かな「野生」です。その野生の指し示す方向が、そのまま梨木さんを導く羅針盤となっているような気がします。多分、わたしたちの誰もが体内に持っているのに使い忘れている羅針盤。  以前読んで共感を覚えた「日々是好日」が紹介されていて、そちらもまた読み返したくなりました。

2015/10/09

エドワード

草花、鳥、野菜や果物、梨木香歩さんの周りにあふれる自然を通して、人間の営みへの思いを綴る、興味深いエッセイだ。人間界においては、駅でのアナウンスの「ああ!」に破顔し、カーナビ嬢と密かな戦いを繰り広げ、新幹線のアナウンスで聞いた「サイトウケイゴ君」の姿を妄想する。動物界においては、新たに越してきた人間をチェックするカラス、罪の意識を感じる犬、枯淡の境地のアオサギの魅力を語る。自身の小学生時代に思いを馳せ、村岡花子さんの言葉「少女の日はなつかしく、また哀しい。」に共感する。私もまた同じ思いを共有する者だ。

2015/10/11

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