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緋の河 (新潮文庫)

緋の河 (新潮文庫)

緋の河 (新潮文庫)

作家
桜木紫乃
出版社
新潮社
発売日
2022-03-28
ISBN
9784101254852
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緋の河 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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みっちゃん

もう面白くて面白くて。頁を捲る手が止まらなかった。主人公の心の強いこと。「あたしはあたしってこと。こうやって生まれついたんだもの」どんなに廻りに蔑まれようとも、秀男もモデルとなったカルーセル麻紀さんもどんなに辛かったろうに、目線を下げずに。だからじめじめしない。遠慮なくぽんぽん飛び出す女言葉も小気味良いが、辛抱と我慢の末にぶちギレた時のドスの効いた啖呵にまたスカッとさせられる。ラスト近く、変わった身体を晒しながら、風呂場で老いた母の白髪を染めるシーンが秀逸。母の変わらぬ愛が心に滲み渡る。続編も必読だ。

2022/06/08

ゆいまある

カルーセル麻紀がモデル。子供の頃から中性的で気が強く、高校を中退。釧路からススキノに逃げ、ゲイバーに居場所を見つける。まだLGBTという言葉はなかった時代、ショービジネスの世界に生き、死んだ人達はこんなにも居た。男でも女でもない、唯一の自分になろうとし、大阪でブレイク。日本で初めて性適合手術を受けようとするまで。夢中で読んだ。なんで桜木さんが書いたんだろってぼーっと考えてて、釧路繋がりだと気がつく。行間から漂う色気と孤独の質量。続編も読む。唯一気になったのは、たこ焼きって箱じゃなくて舟で数えるのでは。

2023/05/04

TAKA

神様が仕上げを間違ったとしか言えないねぇ。神様だって間違うんだから、人間に期待しちゃ気の毒だろう。壮絶だけど秀男の生きざまが楽しそうであることにこの貫く人生を謳歌しているようだった。差別偏見なんて糞食らえでなきゃ世間に負けてしまう。大きくなったらお女郎さんになりたいと言った時に女郎の華代にどうせなるなら、この世にないものにおなりよと。なったじゃないかこの世にないものの先駆者に。だからこそ今あとに続く人達が活躍しているんじゃないのかな。母親は尊いね。

2023/02/16

佐島楓

どうすれば秀男のように強く生きていけるのだろう。そう考えたとき、自分にとって愛するものを好きだと胸を張って言える能力があるかどうかなのかもしれない、と思った。誰かを愛したり恋したりするのも才能だと思う。自己肯定ができるかどうかもそのあたりと強く結びついている。人生はただでさえ哀しい。いいものを読ませていただいた。

2022/05/03

ナマアタタカイカタタタキキ

美しく気高き開拓者。この時代の性的少数者は今よりもずっと肩身が狭かった筈。道なき道を行く、とはよく言ったものの、それを実際成し遂げられるものは少ない。誰かが既に通った道でさえ決して容易ではなく、行き倒れることすらある。そういった勇気ある方々の口からは「そう生きる以外に選択肢がなかった」と屡々聞くが、それは何よりも自分の信念を頼りに生きた人の言葉かもしれない。自分自身を思い通りに仕上げたいのであれば、やはりそうなるように行動する必要がある。ただ綺麗に道理を通すだけではきっと到達できない。そういうことだろう。

2022/11/18

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