闇の黒猫: 北町奉行所朽木組 (新潮文庫)
闇の黒猫: 北町奉行所朽木組 (新潮文庫) / 感想・レビュー
藤枝梅安
「軍鶏侍」シリーズの著者の新しいシリーズ「北町奉行所朽木組」の第1作。「冷や汗」「消えた花婿」「闇の黒猫」の3話。まず主人公・朽木勘三郎のあだ名「口きかん」。これだけで洒落た捕り物が期待できる。水野忠邦が老中のいわゆる「天保の改革」で経済が低迷しているという時代設定。血なまぐさい刃傷沙汰はなく、商家の内輪もめの裏にある人の心理が巧みに丹念に描かれ、じっくりと読ませて「なるほどねぇ」と思わせる謎解きが待っている。手下やその他の登場人物もそれぞれ特徴があり、次回作への期待が高まる。
2014/01/30
ベルるるる
タイトルにもなっている謎の泥棒である「闇の黒猫」・・・その正体が読んでいてもわかっていて、イマイチ楽しめない。3話の短編で、冒頭から闇の黒猫が登場して、読者はどんなすごい泥棒なんだろうと期待している。それが3話目のタイトル作になってすぐに登場。捕まっても、「やっぱりね」って思ってしまう。ちょっと残念な気がしたな。
2018/09/08
onasu
何れも引けを取らない捕物帳三題だ。男気がある、ぶれねえ頭目てえのがいいじゃねえか。 それだけじゃない、通称/朽木組の男ども、あるいは、関わった者たちの心の内を丹念に追っている。そこに、しっかりした読みごたえがある。 朽木勘三郎その人は元より、端から語られる賊/闇の黒猫もいい繋ぎだ。勘三郎は出来過ぎだが、作中人物は何れも、行為がその者の背景にマッチしている。黒猫は、あのままもあり?、とは思ったけど…。 天保の改革の折、遠山の金さんの配下。時代も描かれている。待ち遠しいのは、軍鶏だけじゃなくなった。
2014/02/24
豆乳くま
『軍鶏侍』は新刊の頃気になり何度も手に取ったものの読まずに来てしまった、野口さん初読み。朽木勘三郎率いる朽木組、無口で真面目な定町廻りの旦那に真面目で働き者の手下達。確かにかっこよすぎ感はあるが勧善懲悪で安心して読め事件も面白かった。タイトルの闇の黒猫はちょっと結末が見えてもう少しどうにかならなかったかと残念。
2017/07/08
タツ フカガワ
いつ盗まれたのかわからない手際の良さで、20年近く跋扈する盗人が“闇の黒猫”。北町奉行所の定町廻り同心朽木勘三郎と彼の配下がその黒猫を追い詰める表題作をはじめ、他の2話も勘三郎や岡っ引の伸六の優しさ(それは軍鶏侍の岩倉源太夫に通じるものがあります)が印象に残る捕物帳でした。
2019/04/27
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