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九月の四分の一 (新潮文庫)

九月の四分の一 (新潮文庫)

九月の四分の一 (新潮文庫)

作家
大崎善生
出版社
新潮社
発売日
2006-02-28
ISBN
9784101265711
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九月の四分の一 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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utinopoti27

何年かに一度、大崎善生の作品を読みたくなる。なぜなら、透明で繊細なガラス細工のような文章は、心の奥底にしまい込んでいた、切ない記憶を呼び覚ますから。人生の分岐を振り返ることで、もう一人の自分と対話しているような気分に浸れるから・・。本作は、追憶の彼方に今も輝く「あの頃」の喪失と再生を描く、青春恋愛短編集だ。頁をめくるやいなや、彼にしか表現できない、端正で奥深い世界観が立ち上がる。焦燥も後悔も諦念も、全てをただ優しく包み込む「オオサキブルー」に身を委ね、漂う至福の時間・・。綺麗事もたまには悪くないかも。

2020/02/12

優愛

小説家になりたい。だけど物理的な問題がないから諦めきれない。何より「年齢制限も試験もなければはっきりとした淘汰の場所もないからだ」クォーター・セプテンバー駅、日本語では九月の四分の一。「九月四日で会いましょう」奈緒が残した最後のメッセージが問う。君は誰を説得できる?私とあなたが想い合っていたことも、挫けそうになった夢も目に見える形はないのに。ねぇ、だから始まりの瞬間を二人忘れないでいて。想いの断片、その一枚の羽が輝いていたあの時を。僕は君が好き。一人この駅で君を待ち続けている今も。だからまた、会えるよね。

2015/03/02

ワニニ

泣きたくなるほどに、繊細な静かな透明感ある短編集。切なくも甘やかな青春時代を、40代男性が人生の分岐点に立ちながら振り返っていく姿は、哀愁漂い、目の前に彼が立っているかのように、その姿に惹きつけられる。そして、テーマともなる当時流行った洋楽が、CDではなく勿論レコードで低く流れているようである。しかし、出来事や感情は穏やかではなく、その度に胸をぎゅっと摑まれる感じが、また素敵なのだ。自己愛の強い、初期更年期男性の陶酔型物語とならないところが、大崎善生。美しい。

2015/02/11

巨峰

女性との思い出をベースにした四つの短編集なんだけど、とにかく始めの女性が強烈すぎて!!!!(唖然)え、なんか酷いもの読んでるんちゃうかと焦ったけど、その他の3編、特に後ろ二つの短編はかなり良かった。映像的ですよね。情景が見える感じ。でもさ、始めのが印象に残りすぎる。映像的だけどさ、体温がないわけで、石なわけで冷たいんじゃないかと思うのさ。そりゃおいらも膨らみやら丸みやらは触ってみたいと思わなくもないけどさ、でも、実際にそこまではしねーよね。(レッド・ツェッペリンのCD買ってしまった・・・)

2013/11/09

エドワード

九月の四分の一とは、キャトル・セプタンブル。本当は九月四日という意味だ。パリのメトロの駅の名前。作家になろうと苦悩する私と彼女の青春物語。他に三編。箱根の彫刻の森美術館を舞台とする「イミのないコト」をめぐる物語。国際結婚したイギリス人と日本人の物語は、まさに<逆マッサン>のようで興味深い。日本で愛されるチェス、イギリスで愛される将棋の対称が美しい。今は冥王星が惑星でなくなり、ちょっと哀しいネ。レッド・ツェッペリンのロックをめぐる物語は門外漢の私にはピンと来なかった。お好きな人には懐かしいでしょうね。

2015/03/15

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