トロムソコラージュ (新潮文庫)
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トロムソコラージュ (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
トロムソはノルウェーの北部、北極圏に位置するサーミの地域の街。なぜトロムソなのだろうと思ったが、谷川俊太郎がここでの文学祭に参加した時、即興的に書かれたからであるらしい。「私は立ち止まらないよ」に始まり、スピーディにリズムを刻んでいく詩だが、実験的な要素も含み、谷川の詩の中では難解な部類だろう。他の5篇の詩もまた、長編詩という、これまた谷川には珍しい試み。篇中では「臨死船」の物語性と「詩人の墓」の言葉への信頼と、あくなき執着とがことに印象的だった。この詩集が谷川俊太郎の78歳の出版とは何とも驚異的だ。
2014/06/25
新地学@児童書病発動中
谷川さんの詩集を読むたびに、良い詩を長く書き続けられることに感心してしまう。ここに収められているどの詩も、若い時の詩のように瑞々しくて、勢いがある。長い詩が多く、物語性があるので、詩が苦手な方にもおお勧めかもしれない。ユーモラスで軽快な「トロムソコラージュ」が一番好きだった。「私は立ち止まらないよ/私は水たまりの絶えない路地を歩いていく」冒頭のこの部分は、詩人としての谷川さんの生き方をそのものを表現している気がした。
2018/08/11
りえこ
よくわからないなと思うと、とても身近な物が出てきたりして、妙に親近感のある物語詩でした。
2012/12/25
tenso_h(堀川てんそ)
読み始めて暫くは駄目なのかな?と思った。表題作は一文が長く、私はどうしていいかわからなくなる。「問う男」これも詩と言うより物語?ああ・・。そもそも詩に慣れていないから。そうだ声に出して読んでみよう。いっそう頭に入ってこなくなったけれど、なんだか気持ちいい。「詩人の墓」にいたって、短い言葉のテンポとぽつんと投げ出されたみたいな感触が好き。詩の読み方をあれこれしている、夏の大粒の雨の夜。
2014/08/12
Roti
春まだ浅いストックホルム出張に持参し読む。雪解けの泥濘の地は都会では少なく、雪が運んだ砂利や小石がアスファルトを覆う道の上ではこの詩の世界に入れなかった。日の沈まない夏至の頃のトロムソにいつかは行きたいものだ。そこで読んだらまた違う印象だろう。表題作よりもその他の短編小説のような詩の方がよかった。特に「問う男」。
2015/04/01
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