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大地のゲーム (新潮文庫)

大地のゲーム (新潮文庫)

大地のゲーム (新潮文庫)

作家
綿矢りさ
出版社
新潮社
発売日
2015-12-23
ISBN
9784101266527
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大地のゲーム (新潮文庫) / 感想・レビュー

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かみぶくろ

綿矢さんの人の感情や意識の機微を隅々まで丸裸にするような作風が好きなのだが、本作は大震災と非常事態におけるコミュニティの危うさみたいなものがテーマで、普段と随分雰囲気が違う。綿矢さんの長所が発揮されている部分もあるし、本質を突いているような記述もあって魅力もあるが、ちょっとこの大きなテーマをこのページ数でさばき切るのには無理があったのではないかと思う。作家としてあの震災に向き合わなければならなかったのだと思うけど(2013年に描かれている)、それはもっともっと時間を掛けてでも良かったのではないだろうか。

2019/08/24

Shinji

少し違った感じの綿矢りささん。近未来とは言ってもそれほど未来に感じないのは震災がモチーフにあるからか!?震災によって色々なものを奪われた若者の極限状態が起こすお話でもあるけど、心の拠り所はそれぞれ何処にあるのか!?という問いかけが感じられました。 男がいてもリーダーに心酔する「私」、痛手を受けても男を惹き付けて渡り歩くマリ。綿矢さんっぽいこの2人がカリスマに色をつけていたのかな? ラストに生死が分かれるけれども、マリが放った「生きてる者が勝ちだよ」にタイトルと人の絆が響きました。

2016/10/27

おかむー

いろいろ詰め込んで結局すっきりとはまとまらない、挑戦的というか実験的な作品。『もうすこしです』。巨大地震から半年、同程度の地震が再度おこると予見されている状況下の大学に集う学生たちのなかにひとりのカリスマが現れる。極限状況のなか、行動力とその思想で学生たちを魅了してゆくカリスマのはずなのだけれど、本文中に描かれる演説からそれほどのカリスマ性は伝わってこないところが残念。彼に惹かれながらも一歩引いた立場の主人公の視点からの描写なので、なにかとアラ探しが多くて熱狂しきれない感触。アングラな演劇っぽい。

2016/05/15

hit4papa

大地震で壊滅した都市の大学が舞台の近未来もの(でしょうか)。時代も実は国も明らかになっていないのですが、往年の学生運動を彷彿させるような、大学を占拠しそこに住まう学生らの日々が描かれています。為政者らしき学生のリーダがあらわれたりと、著者には珍しい作品です。ただ、思想的な事はほとんど触れられていないし、大学の周辺には住民たちの日常があるなど、んんん?となるくらい中途半端。タイトルの「ゲーム」から、そのあたりを察した方が良いのでしょうか。著者らしい感性で表現される精神的な孤独感は読み取ることはできます。

2018/08/14

佐島楓

大地震のあと、近未来のどこかの国で新たな地震におびえながら大学に立てこもる学生たち。狂乱状態になった彼らは学生運動を始める。時代が一回りしたのだな。そんな感想を持った。古いのに、新しい。綿矢さんはおそらく、表現の次の地平をご覧になっている。

2016/03/19

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