母性 (新潮文庫)
母性 (新潮文庫) / 感想・レビュー
さてさて
“母性は全ての母親に等しく備わっている”、この思い込みが無意識のうちに世の母親と子どもの両方を苦しめているという現実。まさかの『母性』という作品名、その深く掘り下げられる内容に強い衝撃を受けたこの作品。人間も一つの生物、動物にすぎない。それが故に『本能』という生まれ持った性質には決して逆らえない。でも人間だから、そのこと自体を考え、思いを巡らせることにもなります。人間ってなんと辛い生き物なのだろうと思うと共にそれでも人間だから、人間ならではの見方、考え方ができるはず。色々な事に思いを巡らされた作品でした。
2021/03/14
彩🌴彩ちゃんとペア画中
読み始めからスッと引き込まれる様に深くこの作品の世界に誘ってくれます。母と娘、2人の視点が食い違う様が、あ~この人の立場なら、こう考えるよね~と妙に納得させられると同時に、私達現実社会でも同様に、いろんな人それぞれ違う立場から違う視点、考え方があるのだなと改めて考えさせられました。イヤミスの女王の湊さんだけあって、この作品でも読んでての気分の悪さは健在なのですが、でも、もっと読み進めたい!とページを括る手を止められませんでした。秋には映画化です。戸田恵梨香さん永野芽郁さん主演。楽しみに待ちたいです。
2022/07/13
馨
母娘それぞれの立場から語られる人生が食い違い、逆の思いが互いに芽生える。清佳側の視点が何となく本当っぽいけれど、ルミ子のお母さん(清佳のおばあちゃん)が凄すぎて、本当ならお母さん以上に我が子に愛情を与えてあげるところを自分の娘でさえ母以上には愛せないルミ子の気持ちはちょっとわかります。なるほど…と理解したつもりで読み進めると最後になってあれ!?冒頭ニュース記事と違う??何故?となり、皆さんの感想を読んでやっと自分が完全に騙されながら読んでいたことを知りました。解説の通り二人共信用ならない語り手だったな。
2022/07/01
bunmei
現代社会に潜む家族の陰の部分に焦点を当てた湊かなえらしい一冊。母と娘、そして祖母の立場でそれぞれが思う家族愛のすれ違いによってひき起こされたミステリー。冒頭、1人の女生徒が中庭で倒れてる所から始まります。母は「愛能う限り大切に育ててきた」と言葉を詰まらせる。果たして事故か自殺か…❓時は11年前の台風の夜に遡り、母の手記と娘の回想によって物語は展開します。11年前に起きた土石流によって祖母を失い、幸せだった家庭に思ってもいない方向からヒビが入りだす。そして、最初の娘が倒れていた原因が明らかに…。
2015/08/25
hideko
女子高生が庭で倒れているのが発見された。 自殺か?他殺か? (母の手記)(娘の回想)(母性について)と三人がそれぞれの立場で語って行く。 共感出来る人物は居なかった。まあ、生い立ちが違うと言えばそれまでだが。 幸いにも嫁姑の仲も良かったし、夫婦仲も良いと思う。あくまでも、娘からの立場から見てだ。 湊さんの作品にしては、まあハッピーエンドの方ではないかな。
2017/07/17
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