隔離島: フェーズ0 (新潮文庫)
隔離島: フェーズ0 (新潮文庫) / 感想・レビュー
absinthe
閉鎖され、因習に支配された不気味な村。表向きの健康一杯なイメージが明るいだけに隠された陰湿な体質がより強調される。女史の作品は主人公の行動に共感しづらいものが多かったが、今回はぴたりと主人公にはまった。怖い!そして面白い。今回助けてくれる人が限られ、逃げ場さえ無いという恐ろしさ。押し寄せる目に見えぬ陰湿な圧力、よそ者の疎外感、不気味な闇。仙川さんの作品で一番面白いんじゃないか?エピローグもよかった。前半の展開がのろくて緩いが、そこには意図がある。
2019/10/01
ダイ@2019.11.2~一時休止
ぴんぴんころり運動に隠された離島の謎。読み終わってから食中毒は何だったんだろうという疑問が・・・。
2017/03/28
あすなろ
絶海の孤島が舞台。ピンピンコロリが貫徹される寸前の島。そこに潜む伝統と理不尽な因習。更に医療ビジネス。その世界を仙川氏の明快な筆が解き進める。仙川氏の筆は読みやすい!主人公が爽やかなのも一因か。我が国には、まだホンの一昔前までの因習が数多く残る。それはほぼ科学的見地から根拠なきものであるが、それを理解していても残っているのは、案外、それが自分達にとって都合良いからなのかもしれない。それを先人達は知っていたのか。但し、本作はそこで終わらず、利用されることにまで筆が進む。
2015/07/19
Yunemo
ぴんぴんころり、生き方、死にざまとして一番の理想形です。ただこんな展開で利用されるとは。人間関係が閉鎖的、なおかつ物理的にも閉ざされている孤島、壮大な密室劇、惹きこまれました。古い因習と最新の医療、この組合せに、最後になって驚かされます。昔から言われる相容れない技術革新と倫理感、付随する金儲け主義と名誉欲、結局はこれが背景。でも医療の世界の行く先は、と考えると身震いする想い。予防医療といいますが、薬で病気を予防する時代になりつつあるのも事実。サプリの効用に通ずるものでしょう。健康に生きたい想いひしひしと。
2015/04/05
ナミのママ
「ぴんぴんころり運動」を推進している離島に赴任してきた女医。旧友の失踪、不審な死、事件。この島で何が起こっているのか。…島という独特の地理、風習、常識の違い、そんな中で次第に追い詰められていく「普通の女医」の姿が怖いもの見たさで面白かったです。ときたま島の閉塞感で息がつまりそうになる部分、島で暮らしたことがあるのでよくわかります。悪天候の島を舞台にした事件ものはよくあるパターンですが、それでも読んでしまいます。読み終わってタイトルの意味がよくわかりました。
2015/04/30
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