うちの子が結婚しないので (新潮文庫)
うちの子が結婚しないので (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
垣谷美雨は初読。この人の作家としての来歴等は全く知らないのだが、他の作家たちが見落としていたようなささやかな隙間を狙って作品を書いていくタイプの作家であるように思われる。対象は現代社会が抱えている問題である。とは言っても、政治や経済といった大所高所ではなく、もっと生活に密着した領域だ。それらを取り上げて、多少の誇張を交えながら軽妙に語ってゆく。しかも、当事者たちならきっとさもありなんという共感を巧みにくすぐりながら。通俗的ではあるが、なかなかに上手い手法だ。親婚活―何よりその着眼が面白い。
2020/03/08
ミカママ
いやぁ楽しかった。「親婚活?ありえないっしょ?」と半信半疑で読み始めたのだが。これはひとつの家族小説。主人公と同世代のわたし(地方出身で東京の大学出身、かつ庶民派というところも共通)目線での娘の婚活。それに伴い、玉の輿の乗ったはいいが夫の女遊びで離婚した実姉だとか、彼女の周辺の結婚・離婚事情も絡んできて。結婚はあくまでひとつの選択肢。してもしなくとも、安心して老後を暮らせる世の中になればいいのにな。
2019/09/27
ろくせい@やまもとかねよし
家族という限定的な人間社会の中、現代的な親と子の間で繰り広げられる利他性を描いていると感じた。30代を目前とした一人娘のために、両親が彼女の婚活を代行する「親婚活」がテーマ。ユーモアも交えたテンポ良いストーリー展開で良い読後感をもった。一方、近現代の政治から加速的に変化した家族の在り方、そしてそれに伴って変化してしまった人間にとっての婚姻の意義についてを考える機会にもなった。
2019/04/28
Yunemo
親婚活って実際にあるんだ。初めて知りました。でもチョッとネガティブに。頭の中では会社説明会に親が出向くようなもの。そんな感じかな。でも本作品、ちょっと違うよね。全体を俯瞰すると、著者の想いが伝わってくるような。両親と一人娘友美の関係、友美の素直さ、これだけ会話が成り立つ家族って理想的。自身の考える夫婦像と、まさに今の夫婦像、個性や人生の目標を犠牲にすることなく互いに協力して暮らしていくこと、何だか微妙に違うのですが。これ難しすぎますよ。著者の記す夫婦像、嫁の立場、改造前の夫像等々、多面的な在り方に頷いて。
2019/04/23
ゆきこっち
やっぱり結婚って、同じ価値観、会話のできる人、気のつく人。これが大事!そこに経済力があればなお最高!楽しく読めました。
2019/07/09
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