繋がれた明日 (新潮文庫)
繋がれた明日 (新潮文庫) / 感想・レビュー
kumicom
誰の立場で読んだらいいのか、同情して良いのか悪いのか、私が主人公の立場だったらどうするのか、逆に被害者の立場ならどう考えるのか。とても難しい話だったけれど、厚い本を最後まで一気読み。お願いだからヤケを起こさないで、必ずわかってくれる人がいるから。なーんて思ったけど、それも結局偽善でしかないのかな、とも思ったりして。以前より簡単に人を傷つける犯罪が増えている気がする。加害者にも様々な事情があるのはわかるけど、それでもいろいろ考えさせられる内容。結局、読み終わっても私なりの答えは出せないな。難しい。
2015/10/24
GAKU
主人公隆太の短絡的な思考回路と、軽率な行動に終始イライラしながら読んだ。人が更生するって難しいと思った。
2021/04/06
chiru
過失で喧嘩相手を死なせてしまった若い主人公。この罪ならいくらでもやり直しがきく、社会復帰も可能だという思い込みがあるので、その後の社会の冷遇にぞっとする。主人公が辛さに耐え変え行動を起こそうとすると、読み手まで、そっちに行かないで!!ってはらはら。殺された男の彼女や家族の抱える痛みが追い詰められる主人公の感情とクロスして、主人公が真の贖罪を考えるラストは圧巻。すごいの一言!★4.5
2017/11/19
みも
複雑に屈折した主人公の人間性に共感は出来ない。もとより社会の片隅で生きる小市民に、殺人罪で服役した人間の懊悩など理解すべくもない。しかし著者は、そんな僕にも噛み砕いて教え諭す。寄せては返す波濤の様に、執拗に繰り返す諦念と憤激の堂々巡り。その省察は不安定な情緒を露呈させ、未熟と老獪が混在する独りよがり。怨嗟、自虐、自己憐憫、自己弁護、偏狭な視野と誤認。ネガティブな彼の思考が作品全体を覆い、僕は苛立ちを募らせ捲る指先が滞る。著者が仕掛ける苛烈で理不尽な糾弾は、心を震わす僕に詰問を浴びせ目を逸らす事を許さない。
2017/01/30
おか
殺人を犯し 牢に繋がれ 仮釈放となって 社会に出てきた元受刑者 彼の そして彼の家族 殺された者の家族、様々な人々を取り巻く環境が 彼の周りで渦を巻き 彼自身をも巻き込んで 太い太い縄となっていく。彼は一体どうすれば良かったのか 何度も何度も読み手の心に訴えかける。そして 彼の家族 特に母親の有り様に目が行く。隣の若者が強盗で人を殺しているかもしれない昨今 利用者さんの 子供や孫がお縄にならない人生で良かったと言われる言葉にも 実感がこもっています。
2024/10/20
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