自縄自縛の私 (新潮文庫 ひ 36-1)
自縄自縛の私 (新潮文庫 ひ 36-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
蛭田亜沙子は初読。本書がデビュー作のようだ。6つの短篇からなる作品集。最後に置かれた「渡瀬はいい子だよ」(オリジナルにはなく、文庫化に際して加わった)は幾分例外だが、他の5篇はいずれもアブノーマルな性癖の女性による1人称体で語られる。自分で行う「菱縄」ボンデージ、精液の収集、ラバーへの偏愛といった具合である。当然いずれの作品でもセックスが描かれるのだが、そこに双方向性はない。そこに見られるのは、もはや物体と化した自らの身体に対するひたすらなるオナニズムである。
2021/08/03
おしゃべりメガネ
映像化もされたR-18文学賞受賞作品です。いい意味でそれほど‘官能’ではなく、むしろ場面場面によってはニンマリしてしまうブラックユーモアがきいた内容でした。主人公の女性の‘自縛癖’のある話は、理解するしないではなく、いろんな考えや性癖のネタをサラッとある意味爽やかにすら感じてしまうくらいさりえなく書き上げてくれています。他にも‘性’に対するあらゆるブラックユーモアを、それぞれの主人公のおかれた立場や状況により、思わず鼻でふっと笑いたくなるような話がありました。読書に少しマンネリ感のある方はオススメです。
2012/12/17
いたろう
「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞の表題作を含む短編6偏。以前観た表題作の映画化作品は、竹中直人監督ということで大いに期待したにもかかわらず、何だかゆるすぎて低予算の深夜ドラマのようだったが、原作は、自縛=セルフボンテージという特殊な世界を描いていながら、自然体で飄々として、不思議な味わいに満ちた佳品。他の短編も、それぞれ性的倒錯傾向のある女性を主人公にしていながら、いかがわしさよりも人間としての興味深さが先に立つ。表題作以外の5編に表題作の登場人物が登場して、ゆるく繋がっているのがまた楽しい。
2015/05/12
巨峰
女性によるR18文学賞受賞作を冒頭にした短編集。窪美澄さんの「ふがいない僕は、空を見た」と同じ構成だけどあれよりえぐくて官能小説というよりほとんど変態小説の域。自己の中に完結した世界にしか興味を持てない彼女たち。付き合おうとする男性ですらその興味の先でしか交らわれず、その先の職場などの社会に対しては必要最小限しか関わろうとしない。。解決のない息苦しい短篇がつづくが、ラスト前の短篇の主人公は、少し開かれて終わり、文庫化に際して書き下ろされた短編により、ようやく開かれる。ある意味とても文学的な作品だと思う。
2012/12/07
ピロ麻呂
異常な性癖?フェチ?の女性たちを描く短編集。自分が知らないだけで、やってみるとハマることって実際あるのかも…エロい意味ではなくて(^_^;)趣味とかで。
2017/02/21
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