玄鳥さりて (新潮文庫)
玄鳥さりて (新潮文庫) / 感想・レビュー
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
久しぶりの葉室作品は、当時はそれなりにあったと言われている「衆道」という淡い情、そして権勢の希求と愛の物語。葉室さんの作品らしく読みやすく、一本筋の通った男の生きざまはカッコいいけど、それが果たして報われたかといえば、まあちょっと悲しい物語なのかもしれません。玄鳥(=ツバメ)さりて。一人去ってしまった葉室さんですが、作品を通じて私たちの心に何度でも戻ってきてくれる…。
2021/11/27
のり
葉室麟の遺作。改めて豊かな才能が失われた事が悔やまれる。本作は身分も歳の差もある二人の友情を描いた、切なさも残る一冊だった。剣の腕は藩内一なのに軽く扱われる男と、彼に道場で見出され順調に出世していく男の紆余曲折の人生。派閥争いに巻き込まれていく不運。どちらに傾いても絶望しかない。しかし土壇場で命を賭しての…信を貫いた剣志に心打たれる。
2021/11/23
えみ
哀愁漂う葉室麟の世界観にまた今回も身を投じることができた。人生とはなんと苦しいものなのだろう。彼の歩む道は険しく振り返れば侘しい。しかしどんな窮地に追いやられても、たった一つ愚直なまでに己に誓った「決意」は揺るがず。燕の生き方。剣客・樋口六郎兵衛とその彼に幼い頃から目をかけてもらい、稽古をつけてもらっていた三浦圭吾。二人の運命の歯車は徐々に狂いだす…。藩の派閥争いに巻き込まれていく圭吾に芽生えた感情は2人の運命に何を生む?燕は幸せを運ぶ鳥だと言うのなら、人に幸せを運ぶその燕もやっぱり幸せだったのだろうか。
2024/10/12
優希
友情を超えた切ない武士の物語と言えますね。圭吾に対する六郎兵衛の献身と犠牲。しかし、後に2人は敵同となり、剣を交えなければならなくなったのが悲しいです。、守る刀は一体何なのでしょう。遺作ということで、最後の魂が入っているのだと言えますね。
2022/04/04
てつのすけ
葉室さんの作品は、読むたびに清らかな心になる。この作品は、友情とは何なのかを考える内容だ。自分に、このような友人がいるのだろうかと考えたが、残念な答えしか思い浮かばない。現代社会においては、益々このような関係は築きにくくなるのではないかと思う。
2021/10/05
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