日本文学100年の名作 第5巻 1954-1963 百万円煎餅 (新潮文庫)
日本文学100年の名作 第5巻 1954-1963 百万円煎餅 (新潮文庫) / 感想・レビュー
こーた
気に入った作品を順に。芝木好子「洲崎パラダイス」赤線地帯の情景。星新一「おーい でてこーい」原発事故を予言。山本周五郎「その木戸を通って」時代小説と見せかけてホラー。井上靖「補陀落渡海記」世論のおぞましさ。河野多惠子「幼児狩り」女だって変態だ。山川方夫「待っている女」ヒッチコック大好き。長谷川伸「山本孫三郎」仇討ちは文化だ。瀬戸内寂聴「霊柩車」父のこと。敗戦から十年が経ち、暮らしが安定し世界が拡がっていく五、六十年代。日本文学百年の名作から十六編を収録。
2018/12/20
KAZOO
この第5巻には1954年から63年までの16の短篇が収められています。私もすでに読んでいて傑作だと思うもの、星新一「おーいでてこい」、山本周五郎「その木戸を通って」、井上靖「補陀落渡海記」などがあったのはうれしい限りです。そのほかで印象に残ったのは吉田健一「マクナマス氏行状記」、三島由紀夫「百万円煎餅」です。前者は当時の一般的な日本人を揶揄している気がしました。
2015/02/27
みつ
戦後の独立回復から岩戸景気後の10年間に発表された作品を収める。既読は、おそらく星新一の『おーい でてこーい』と森茉莉の『贅沢貧乏』だけか。この期の途中に売春禁止法が施行され、芝木好子の『洲崎パラダイス』では、その少し前のいわゆる赤線地帯界隈を描く作。三島由紀夫の表題作は、若い男女カップルの遊園地における他愛もない日常を描くようで、冒頭にさり気なく触れられていた女と出会う終わり近くで二人の属する世界が明かされる。邱永漢、吉田健一、有吉佐和子の各作品は、外国人が主人公。とりわけ有吉作品は、神父に学ぶ芸者➡️
2024/02/16
踊る猫
戦後に書かれた作品は何処か解放的で元気に感じられる。星新一のショートショートの切れ味に唸り、三島由紀夫が優れた「風俗作家」であったことを確認する。山本周五郎の不思議な味わいを出す短編に酔い痴れた。総じて愚作や駄作は収められておらず、ジャンル的にもバラバラなようでありながらシームレスに纏まっているのは流石にこの編者たちだなと唸らされる。古びていないのも良いね。今でもブリリアントな作品たちの存在感は、今文芸誌の紙面を飾っている現代的な作品たちにも充分拮抗出来ていると思う。今の作家たちはここから生まれて来たのだ
2019/10/22
メタボン
☆☆☆☆若い夫婦の会話が何となくエロチックだと思ったらやっぱり~三島由紀夫・百万円煎餅、赤線の時代の風俗を垣間見る~芝木好子・洲崎パラダイス、男娼が涙ぐましくいじらしい~吉行淳之介・寝台の舟、記憶喪失の女がせつない~山本周五郎・その木戸を通って、往生し損ねる金光坊がかえって人間らしい~井上靖・補陀落渡海記、旅館の下働きで親の死に目に会えない娘がせつない~佐多稲子・水、作家にならんとする娘と父との業~瀬戸内寂聴・霊柩車。秀作ぞろい。既読の河野多恵子「幼児狩り」山川方夫「待っている女」も良い。森茉莉は今一つ。
2018/11/03
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