ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)
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ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫) / 感想・レビュー
しゅわ
【図書館】文庫化を機にひさびさに再読です。手に触れた物に残る記憶が見えてしまう編集者の古川真也。ある日、同僚のカオルが20年ぶりに父親と再会することになり、その父親が…という7行のコンセプトから生まれたふたつの物語。同じ地点からスタートしたのに父親の性格や社会的な成功等が全く違っていて感心しますね。どちらも不器用な父親の娘への愛情の物語。個人的にこの展開には弱く、毎回涙してしまいます。後半の「親は立派な人であるべきだっていうのは、子供の幻想だ」という言葉はグサッと刺さりました。
2013/11/10
zero1
有川の挑戦が二つの物語に。舞台をきっかけに7行のあらすじから始まった。編集者の古川は物に触れることで記憶が見えるサイコメトラー。同僚カオルの父が帰国。彼はハリウッドで脚本家をしていた。しかし、古川が見たものは?意欲作なのだが、私には「あらすじ」と説明に読め、物足りない。そのためヒネリの部分にも共感しなかった。有川ほどの作家になれば高いハードルは当たり前。後半のparallelは、カオル父の設定が違う。人の弱さ、ずるさを嘘のあり方で描くのは読んでいて痛いけれど感情移入した。甘々の恋愛はまさに有川。
2019/04/08
まりも
手に触れたものの記憶を見る事が出来る編集者・古川真也が、同僚のカオルが20年ぶりに再会する父親の本当の姿を題材に描いた2つの中編からなる物語。有川浩さんらしいお話。登場人物は同じでも背景や設定が少し変わるだけでこんなにも違った内容になるのは何か不思議。同じ仕事に打ち込む父親でも表題作となる「ヒア・カムズ・ザ・サン」の方が読後感が良かったです。「Parallel」の方は人間臭さはあったけど、どうしてもあの父親のことを好きになれなかったので微妙でした。良い話ではあるけど、グッとくる程では無かったかな。
2016/03/08
れみ
幼い頃から物に残った人の思いが見える不思議な力を持っていた主人公・真也が、同僚のカオルが20年ぶりに会う父親の真実に触れるお話。有川浩さんの作品に登場する男の人って気働きのできる細やかなキャラクターが多い気がするけど、このお話の真也はそれをファンタジー的に描いたように感じた。本編の方に比べると、パラレルはカオルの父親がダメダメな感じで真ん中辺りまでイラッとしたけど最後はグッとくる展開だったかな。それにしても、恋人の心変わりまでこんな風に分かってしまうのは辛いですね…。
2013/12/01
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
手に触れたものの記憶や思いを感じ取ることのできる能力を持つ真也。ある日同僚(彼女)の父が20年ぶりに来日する…。欧米で名声をものにしているという話だが実際は…。 本題の方は有川浩と楽しみにして読んだが少しあっさりしていたかなーと肩透かしを食らったが、後半のパラレル版の方で持ち直した感じ。片や、友人の代わりに父親を演じる男、片や、嘘つきで小心でどうしようもない父親。その力をどう使うのか、真也の持つ能力に関しての叙述が良かった。また後半では恋人カオルとのやりとりも筆者らしくときめいた。得意だなぁこういうの。
2014/04/12
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