東京公園 (新潮文庫)
東京公園 (新潮文庫) / 感想・レビュー
hiro
一言で言って読んで爽快になる小説だ。主人公の圭司はもちろん、すべての登場人物が人を騙したり、人を傷つけることは決してしない、いい人達なのだ。圭司がひょんなことから、公園での妻と子の写真を撮ってほしいと依頼され、それを誠実に実行していくことがこの小説の最大の‘事件’だが、その‘事件’さえも、公園の中をゆっくり歩く親子のように、ゆっくりゆっくり気持ちよく進んでゆく不思議な小説だ。さらに、この‘事件’で成長した圭司とこころやさしい他の登場人物たちの関係はどのようになっていくのか、余韻を残す作品でもある。
2011/07/12
射手座の天使あきちゃん
小路さんのポリシーなんでしょうね 醜いもの、嫌なこと、悪い人の登場しない物語です 緑の木々、木洩れ日、ブランコ、噴水、子供とお母さんの笑い声 二人をファインダー越しに見守る青年 そして彼を大切に思う姉や友人たち ぬるめのお風呂にゆったり浸っている心地よさでした(笑)
2011/07/10
相田うえお
★★★☆☆亡くなった母親はフォトグラファーで、その息子はカメラマンを目指していた。ひょんなことから妻子の写真を密かに撮影してほしいという依頼を受け、あちこちの公園に行く母親と子供をファインダーから覗いているうちに……なーんていう始まりです。何故、公園ばかり行くのか?写されていることに気づいていながら知らないふりをしているのはなぜ?なぜなぜ一気読み。大きな事件や出来事が起きる訳じゃないので物足りないと思われる方もいるかも知れませんが、彼の周りの友達や姉,知人もいい人ばかりで読了感はまあまあでした。
2016/08/07
七色一味
読破。間違えて単行本の方を登録してたけど、実際は文庫の方です。章立てが細かいので、読み落ち本として、夜寝る前に読んでいたんですが…。 一言で表すなら──乾いた大地に落ちた、一滴のミネラルウォーターのように、すうっと心に染み込んで潤いを与えてくれる本、ですね。書くべきことと書かずに読み手に想像させるところを心得た文体かと──。読み終わると、なんか夏の名残の秋風に包まれているような感じです。※個人的な感想です(笑
2012/01/17
ミナコ@灯れ松明の火
登場人物がみんな素敵。確かに公園の陽だまりを思い浮かべさせるような温かい話だけれど、みんなが抱えている影や葛藤がこの話を単なるいい話にさせず、深みを与えている。話の中で全ての登場人物の「?」な部分が解明されないことがまたいい。漠然と生きているようだけれど本当に大事なものだけは何か分かっている、分かろうとしている人たちの話。映画も見てみようかな。
2011/10/28
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