秘湯中の秘湯 (新潮文庫 し 33-1)
秘湯中の秘湯 (新潮文庫 し 33-1) / 感想・レビュー
ばりぼー
「ことばというものをカリカチュアにして、気軽に笑っていただこうという作品たち」を集めた短編集。トラベル・ガイドブックの案内文を模した表題作にある「極道温泉」の「ビーフじゃあきい」には不覚にも大笑いしました。あまりにも真面目に悪ふざけをしようとしてスベっているものもありますが、田舎から出てくる母親に新幹線の乗り方を懇切丁寧に教える「周到な手紙」の過剰なお節介ぶりや、日本の歌謡曲をフランス語に翻訳して紹介されたものを、再度日本語に翻訳した「ジャポン大衆シャンソン史」の出鱈目な誤訳が楽しめました(笑)。
2016/03/06
ジンベエ親分
「爆笑小説」とあるが、少し違うような気もする。表題作は秘湯の案内記事と見せかけて怒涛の言葉遊びを連ねたフェイク記事なのだが…何だろう、あまり面白くない。例えば「非常識テスト」は大学生に対して行った常識テストの珍回答集、という体裁なのだけど、最近ネットに出回っている実際の珍回答の方が遥かに面白い。どうも全体的に理屈っぽいというか、「マジメな人が精一杯ふざけてみた」感が溢れていて、何だかちょっとイタい(笑) 30年前の本だから仕方ないのか…いやいや筒井康隆では笑い転げたじゃないか(笑)
2019/07/27
林 一歩
思わずクスっと笑ってしまう作品ばかりの短編集。真面目な顔で不真面目なことをいう面白味と言うと伝わるだろうか。
2015/03/01
田氏
曰く、「ことばというものをカリカチュアにし」た短編集。全編にわたって散々ふざけ倒しておきながら、あとがきでは短くも真摯に人間とことばへの想いを綴る。真面目かよ。『ジャポン大衆シャンソン史』では、Excite翻訳に先んじて再翻訳をパロディ化する先見の明を披露する。読んでも何をする機械なのかすらわからない『取扱説明書』のパスティーシュにおいては、どんな未来図を想像していただろうか。取説というもの自体が電子化され、中高齢世代は内容を理解するどころか表紙を開くのも一苦労、なんて時代が来ることまでは予見していまい。
2019/02/11
メタボン
☆☆ 取扱説明書やアンケートを題材にした作品は正直下らなかった。最後の日本の歌謡曲をフランス語にしたものを日本語に直訳した作品は面白かった。
2014/08/05
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