白蝶花 (新潮文庫)
白蝶花 (新潮文庫) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
素晴らしい!宮木さんの感性を堪能!珠玉、傑作と称えるしかなかった『花宵道中』は吉原で生きる哀しき女たちの、命を懸けた純情ストーリーならば、本作は大正の時代から戦後・現代に連なる、女たちの『愛と官能』の話。今でこそ男女の権利関係に改善傾向が見えるが昔は女に生まれたというだけで世間体に晒され、親に売られ、男に軽んじられ利用される儚き存在。語られるのはそんな時代に生きた女の純情と誇り!強かに生きながら人の優しさを眩しく思う、戦争という理不尽を絡めて『命』を問う傑作❗短編が繋がり結末を迎え、自然涙が零れる‼️🙇
2019/09/17
ミカママ
「もうだめだ。乾かしても乾かしても、この男がいる限り、心は濡れつづける。」あああ、こんなに狂おしい女心をここまでズバリ描ける作家さんがほかにいるだろうか?これ、感想書けません。脱力、膝から崩れ折れちゃう。以上!
2014/10/12
りゅう☆
芸者に売られた姉妹。姉菊代は黒田と恋仲になり、吉岡から命からがら逃げる。章太郎の妾となった泉美が強姦まがいに犯された傷心を息子の吉明が癒す。奉公先で見た男女の営み、そして自分も女の性に目覚める千恵子。愛する気持ちや女としての快楽や悦びを知り、ずっと心身共に結ばれていたい気持ちが募っても、戦争で引き裂かれるやり切れない悲しみが切ない。だがどこかで手を差し伸べてくれる繋がりに物語の魅力を感じる。恋愛への不信感から素直になれない和江を最後まで愛で包み込んだ正文は素敵な男性。波乱万丈であっても幸せな人生を感じた。
2017/05/27
優希
宮木さんA面。美しい官能的な恋愛が紡がれていきますが、心に刺さるものがありました。愛することが破滅へとつながるのが辛くてなりません。女性が一人で生きていくのが難しい時代だからこそ、男を愛さねばならない悲しさが滲み出ているのを感じます。命をかけてまで愛を貫き、守り抜こうとした女性たち。その生き様は悲しくも尊いものでした。荒れ野原のような日本に咲くドラマティックな恋の花。こういった世界を綺麗に描けるのもA面ならではですね。
2016/07/11
ケイ
宮木さんは、官能だけでない、女の物語~昭和の女達の話~を書こうとされたんだろう。しかし「花宵道中」の方が迫力があって好きだった。物語に説得されないと言うのだろうか、いとも簡単に官能に陥る女が、数回の肉体経験の後に、戦争に翻弄されたからとはいえ、生きることを噛み締めたような女になるだろうか。もう少し何かが…と思ったら、その何かをしをんさんが足してくれた。宮木さんが描ききれなかった男の陳腐さや女の生きざまが、しをんさんの手練れの解説で、味わい深いものとなっている、と私は思った。
2015/02/08
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