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さよなら渓谷 (新潮文庫)

さよなら渓谷 (新潮文庫)

さよなら渓谷 (新潮文庫)

作家
吉田修一
出版社
新潮社
発売日
2010-11-29
ISBN
9784101287546
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さよなら渓谷 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ehirano1

『罪を償う』、というか『罪を一生背負って生きていく』と云うことはこうゆうことかもしれなと思いました。もちろんこれだけではないとは思いますが、1つの在り方を小説という形でこのように表現した(≒提示した)著者は流石だと思いました。

2019/10/06

yu

それぞれの立場があり、それぞれの感情がある。 全てを文字に起こさなくても、そこから湧き上がってくる思いがとても深くて重たい作品だった。 加害者と被害者。お互いが受けた傷から逃れられずに、もがき苦しんでいる様が、読んでいて辛かった。加害者と被害者だからこそ、相通じるものがあるのかもしれないけれど、他人から見ると理解に苦しむ関係。 だからこそ、渡辺はそこに何かを見出したかったんだろう。 『パレード』をちょっと思い出した。人間の奥底にある心理描写が、抜群にうまいなぁ。

2013/07/27

にいにい

初吉田修一さん。人は、過去の過ちから逃れられないのか、2度と幸せを望んじゃいけないのか。ワイドショー的になりつつあるマスメディアや日本人への警鐘だよね。一つの出来事に縛られ共に幸せになれない被害者と加害者や渡辺夫婦。子殺しから始まり、過去のレイプ事件に絡む不快感が、纏わりつく。閉塞感がやるせない。最後に俊介の過去を許し、去っていく夏美、しかし、俊介は必ず探し出し、二人で幸せになることを予感させる渓谷の涼風が救いだ。途中で嫌気が高まるが、読後感は悪くない。吉田さんの他作品にも挑戦だ。どの作品がいいかな?

2014/05/23

yoshida

過去に犯した罪と贖罪の重たい作品。しかし考えさせられる名作。幼児殺害事件を取材する記者渡辺は、容疑者の隣家の尾崎夫婦、夫の俊介の犯した集団強姦事件に気づく。事件の顛末、加害者と被害者の現在を調べ、尾崎夫婦の秘密に気づく。被害者は勿論、加害者も救われない。事件から数年後、加害者尾崎俊介が、偶然に被害者水野夏実と出会い、尾崎の贖罪が始まる。勤務先も婚約者も捨て贖罪する尾崎。殺害事件が解決後、尾崎の妻は去る。尾崎は許された事を意味する。しかし尾崎は去った妻を探す。当事者達の心の痛み、周囲の嘲りは消えない。

2015/01/02

hit4papa

過去の悲惨な出来事から抜け出せない俊介とかなこ。俊介とかなこがそれでも二人でいる理由、だからこそ離れられない理由は、読み手に大きくのしかかってきます。赦されたいけれど、それは別れを意味する。赦したいけれど、赦すと自分を見失ってしまう。二人の思いが交差する地点で胸がアツくなります。哀しみや憎しみから出発する愛もある。そしてそれは真実の愛に辿り着くのかもしれない。本作品は、ひとつの愛のかたちを提示する恋愛小説として、深い感銘をあたえます。

2014/10/04

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