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三たびの海峡 (新潮文庫)

三たびの海峡 (新潮文庫)

三たびの海峡 (新潮文庫)

作家
帚木蓬生
出版社
新潮社
発売日
1995-07-28
ISBN
9784101288048
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三たびの海峡 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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KAZOO

この作品は三度目くらいのはずですが、いつ読んでも心にズンとくる重い印象を残します。ここに書いてあることや今日韓で問題になっていることの事実は分かりませんが、やはり戦争での侵略がらみでのさまざまな弱者に対する仕打ちというものは「戦争文学」ということでひとくくりにしていいものではないと思うのですが、残していく必要があるのでしょう。最後の主人公の言葉がこの作品で言いたいことをまとめてくれています。

2016/02/22

nobby

読み終わり『三たびの海峡』渡る機会それぞれの想いを噛みしめる。日本占領下、1度目は父“アボジ”に変わっての強制連行、2度目は終戦を迎えて最愛の“倭奴”な女性を連れての帰郷、そして決して日本に向かわなかった男が40年余り経って渡った3度目の意味は…戦時下の敵味方、それも劣勢側が至極侮蔑されるのは然りだが、生々しく描かれる拷問や偏見・差別といった事柄を現実に受け止めなくてはならない。それが自らを守る故に同国民どうしで行われていたことが哀しい。終盤の展開に安堵する束の間、ラスト語られる衝撃にまた暫し黙考…

2017/09/16

のぶ

一人の人間の生涯を通し、日本と朝鮮の関係を考えさせられ、深い感銘を受けた。主人公は戦時下に北九州に強制連行された河時郎。炭鉱労働で辛い毎日を過ごす。そこで千鶴という日本人女性と知り合い恋に落ちる。戦争が終わり、二人は結婚し海峡を渡り韓国で家庭を持って生活を始めるが、千鶴は両親に日本に連れ戻されてしまう。時は経ち、半世紀を経て時郎は三たび海峡を渡り、ぼた山を眺めながら当時からの時間を回想する。歴史に翻弄された人物が生きてきた時代を考えた時、人間のやってきた事は何だったのだろうと思った。

2018/06/14

Lara

太平洋戦争中、朝鮮から強制連行され、筑豊の炭鉱で労働を強いられた河時根(ハーシング)が主人公。その間、多くの同胞の先輩、同僚が亡くなった。戦争中とは言え、そのあまりにひどい扱いに、人の心があるのか、胸が痛む。不幸な関係を繰り返してはいけない。私には、スケールの大きな壮大なドラマに感じられたが、最後の長い告白文にはちょっと違和感。主人公が、なぜに自殺に追い込まれたのか、納得がいかない。それは、その奥さん、苦労して一人で子供を育てた千鶴さんにも申し訳が立たず、なんとも、不憫でいたたまれない。

2020/04/17

アッシュ姉

戦争末期、日本に強制連行された朝鮮人男性の壮絶な生涯。帚木さんの大作、じっくり読ませていたただきました。オススメしてくださった読友さんに感謝。私にとっても本書が帚木さんのベストになりました。認識を改めることになった一冊。不幸な歴史を繰り返さないためにも忘れてはならない。目を背けずに知っておくべき日本の過去がある。水に流すという表現は、害を被った側が発する言葉で、加害者は口にすべきではない。その通りだと思います。以下、コメント欄は内容に触れております。

2016/02/16

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