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逃亡(下) (新潮文庫)

逃亡(下) (新潮文庫)

逃亡(下) (新潮文庫)

作家
帚木蓬生
出版社
新潮社
発売日
2000-07-28
ISBN
9784101288123
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逃亡(下) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ehirano1

#圧巻の下巻。#戦争責任についてホントに考えさせられる。#要所要所がホントに泣ける。#瑞枝(森田の奥様)は強し!そして立派。#何が正しくて何が正しくないのか、もはやそれを超えた何かがこの小説にはある。#ラストは四の五の言わんとこれで良い。#妄想と言われようと核や兵器が戦争の抑止力になるのではなく、このような小説が抑止力になる日を切に望みます。

2019/11/02

アッシュ姉

勝てば英雄、負ければ戦犯。戦勝国が戦敗国を裁く不条理。敗戦とともに、お国のための任務は犯罪行為とされた。憲兵として国家に尽くした行為が仇となり、日本の官憲から追い回される理不尽さ。家族との再会も束の間、果てしない逃亡生活を余儀なくされた主人公。餓えと闘いながらの過酷な逃避行、無事を祈り再会を願う家族、手を差し伸べてくれる仲間や関係者。巧みな人物描写に、緻密で膨大な取材力が窺える迫真の内容。早く結末が知りたくて、駆け出したくなる気持ちを抑えて読み耽った。帚木さんらしい結末に涙。読んで良かった読むべき一冊。

2016/03/25

のぶ

下巻に入り、上巻で実家に帰還できた守田が、再び逃亡生活を始める。やがて逮捕され収監される。読み進むうちに本作のテーマが、BC戦犯の問題であることが明確になってくる。戦争の罪深さと非道さを深く感じ取られてくる。戦争さえなければ一民間人に過ぎなかった人々が、時代に翻弄され、こんな扱いを受けなくてはならないのはあまりにも不条理だ。最後に守田に対しても扱いは、これをハッピーエンドと捉えて良いものなのか?非常に複雑な読後感と感動を残した戦争文学の秀作だった。

2018/05/06

ころりんぱ

何度もため息をつきながら、「戦犯」について考えました。戦争だから、命令には絶対服従が当然だから、自国を守るために、日本がやられた分やり返すために、憲兵としてやってきたことを敗戦を期に罪に問われ、戦犯として追われるはめになる。主人公は、仕方なかったのだ言う気持ちと、確かに自分が人を殺めたのだという罪を背負う気持ちの狭間で常に揺れ動いていた。その心理描写が見事でした。主人公の家族の暮らしぶりから当時の困窮した日本の様子が窺い知れ、私の祖父母の若い頃の話なのだと思うと大変な重みを感じました。

2015/01/27

クリママ

偽名を使い命からがら故郷に帰り、かつての同僚の好意を頼りに妻子と暮らせたのもわずかな期間。身元が警察に発覚し、戦犯として追われることになり、飲まず食わずの今回は2人の逃亡生活。天皇のために戦犯となるようなことをさせられてきたのに、天皇は何故罰せられないのか。ともに逃げる軍曹の言葉に、今まで読んだこともないほどの天皇批判が書かれている。逮捕され、巣鴨プリズンから裁判とは名ばかりの香港へ逆送される日を待つ。その間に死刑執行も多数。どうして戦犯になってしまうのかと思いつつも、かつての行為の記憶に苦しめられる。⇒

2022/08/07

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