薔薇窓 下巻 (新潮文庫 は 7-15)
薔薇窓 下巻 (新潮文庫 は 7-15) / 感想・レビュー
藤枝梅安
ジュリアンと音奴の周りの人物描写が巧みで、展開にはやや不自然なところがあるが、ジュリアンの趣味である写真が事件を解く鍵となる展開はスリリングである。医学小説のようでもあり、比較文化の話のようでもあるが、やはり最後は「純愛小説」として終わる。大学でフランス文学を学び、後に医学に転じた筆者の日本に対する思いが伝わってくる作品である。「薔薇窓」は「狂い咲き正宗」から数十年後のパリ。万国博覧会を開催し、エッフェル塔を建て、地下鉄を開通させる。「薔薇窓」の主人公の趣味は日本の刀の「鍔」の収集。
2011/01/20
蒼
「異邦人であれ誰であれ、健気に生きようとする人間が暖かく迎え入れられる、それが公正な社会というものです」1900年のパリでの林の願い、思いは現代日本では実現されているだろうか? 文化が、人間としての資質が熟成しているだろうか? 音奴が巻き込まれた事件のあれこれの解決よりも、パリで刀の鍔や扇子浮世絵などの古物商を営む林忠正の日本に対する思い、日本人へのもどかしさ、そういった事が胸に響く下巻だった。自分を救ってくれた医師ラセーグと共に、フランスで生き抜こうとする音奴の決意が健気であり天晴れだった。
2020/04/12
HoneyBear
1900年ころのパリの生活・情景の描写力がすごい。最初はかなり退屈。中盤サスペンスとしてすごく面白くなるが、唐突・拍子抜けな解決となる。
shizzy
引き込まれて一気に読みました。なるほどねぇ。ミステリーと言うより恋愛小説の部分が強かったように思えます。下宿先の人物たちが生き生きしているし、写真の解説など丁寧で良かったです。しかしラセーグ先生、仕事や人間関係は良いのだろうけど、どうも恋愛にフラフラしていて好感が持てません。フランス人(外国人)の日本の古美術に対する姿勢や着眼点などを知るにはとても参考になりました。
2012/02/17
Shinke Taeko
★★★★☆ やっぱり面白い、帚木蓬生
2017/09/11
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