国銅(上) (新潮文庫)
国銅(上) (新潮文庫) / 感想・レビュー
鉄之助
奈良の大仏鋳造に携わった、名もなき工人、労役に駆り出された庶民の壮大なドラマ。原材料となる棹銅の製作から輸送…など、の苦労が細部に渡って語られ、なかなか大仏鋳造にたどり着けなかったが、上巻の最終盤で初鋳造。「大蛇の鳴き声」のような音を立てながら溶けた銅が流し込まれる。下巻が楽しみ。
2019/02/12
ケイ
山口県の長門では銅がとれた。奈良の大仏建立のためにそこの男たちが奈良に送られる。長門で主人公の国人の周りにいた人達が奈良への道のりにいなくなってしまい、上巻では前半に比べ後半になってから些か読む気力が削がれた。国人になついて仕事をしていた黒虫とのやりとりが実に良かったからなあ。冒頭で、巷に溢れる銅の価値が下がり、それを大仏に流し込むという考えには驚いた
2020/12/10
ehirano1
奈良時代の小説を読むのはこれまでなかなか無かったように思いますので、奈良時代の生活様式や食べ物の記述が興味深いです。物語自体は主人公の国人が周囲の人間に恵まれていますが、これは国人が「引き寄せの法則」を無意識に発動させているように読み取れました。大仏は完成するのか?故郷へは帰るのか/帰ることが出来るのか?後半がいろいろと楽しみです。
2024/05/01
さと
帚木氏の作品を読むたびに感じるのは、望むと望まざるとに関わらず、与えられた運命をただひたすらに生きる者たちの姿。人生の中に選択の自由や権利を与えられない中でも、そこに意味を見出していく姿、与えられた環境をどう受け止めて幸せに転じるのか その高尚な生き様は健在。御仏の建立に誘われた清き魂たちがどう高みへと誘われるのか楽しみだ。
2018/05/17
夜長月🌙@新潮部
精神科医でもあり、あの「閉鎖病棟」を書かれた帚木さんが奈良の大仏作りの長編を手掛けていたとはとても意外でした。仏教とは何のつながりもなさそうな苛酷な仕事をする鉱夫が主人公です。その村にいる僧が主人公の精神的支柱となっていて印象的です。辛い事ばかりの毎日ですがその中に小さな光を見つけようとする生き方に惹かれます。「自分が信頼し頼るべきは自分」を体現してる壮大なる幕開けの上巻でした。
2021/04/11
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