千日紅の恋人 (新潮文庫)
千日紅の恋人 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
冒頭からラストまで、悪人が出てこない。途中少し冗長な場面もあったけれど、カレシが10才年下という設定もステキだし、読後感もすがすがしい...んだけど、やっぱり帚木さんには、恋愛モノじゃなくない社会派小説で攻めていって欲しいです。
2017/02/05
yoshida
帚木蓬生さんの恋愛小説。時代設定が昭和かなと思わせるほど、古風な良さがある。宗像時子は30代後半の独身女性。二度の離婚のあと、亡き父が遺した古いアパート「扇荘」の管理人をしつつ特老でパート勤務中。扇荘の個性豊かな住人たちとの日々。新たに扇荘に入居した有馬生馬。スーパーに勤務する実直な有馬。時子と有馬はいつしか心惹かれていく。帚木蓬生さんの作品らしく、特老等の医療分野の記述に深みがある。恋愛小説としては生臭さがなく、実に古風で清純な内容だと思う。淡々と読了。有馬の最期の決断が素晴らしい。二人に幸あれと願う。
2018/04/21
新地学@児童書病発動中
結局のところ人生に必要なものは、優しさと思いやりだ思う。甘さではなくて、悪も俗も苦もみんな引き受けて、皆と一緒に生きていこうとする心。この素晴らしい恋愛小説に描かれているのは、そんな優しい心だ。介護のパートをしながら、古アパートの管理人をしている時子が、10歳年下の有馬さんに恋をする。劇的な話ではなく、登場人物たちもぱっとしない人ばかり。それでも本書を読むと、温かな気持ちが胸の中に広がって、人間同士のつながりを大切にしようという気持ちになる。(コメント欄へ)
2015/10/31
びす男
アラフォー、バツ2、それでも思いやりをもって古アパートの管理を続ける主人公の時子。彼女の恋は、ゆっくり確実に進展していく。特に恋敵やら、乗り越えるべき障害などが出てくるわけではない。ただ、ゆっくりゆっくり、思いを育てていく。一気に読み終えるような作品でもない。いまある幸せを享受し噛み締められる人に限って、幸せをつかむまでに時間がかかるのかも知れない。
2016/11/05
ぶんこ
著者初読みです。父親の残した古いアパートを母の代わりに管理している時子さん。大家さんがここまで店子の面倒をみるとは、恐れ入りました。口うるさいところもありますが、優しくて面倒みがよいのには感嘆しました。自分には出来ないどころか、こんなに大変では大家になりたくないと思ってしまいました。色んな細かい点にも配慮が行き届く有馬さんだけに、時子さんの良さが分かったのでしょう。バツ2? いえいえ、最初の結婚は死別、次は離婚でした。2度の離婚でなくてもバツ2というのでしょうか?何だか時子さんが可哀相な表現です。
2015/11/06
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