聖灰の暗号〈上〉 (新潮文庫)
聖灰の暗号〈上〉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
yoshida
カトリックから弾圧され徹底的な迫害を受けたカタリ派。歴史学者の須貝はカタリ派の研究の為、南仏へ赴く。カタリ派弾圧の資料を発見した須貝は研究会で発表。更なる調査を続ける。カタリ派の弾圧はカトリックの明かしたくないタブー。カタリ派の調査を続けるにつれ、須貝の周りに死者が出る。そこまでして隠さねばならないカトリックの大罪とは何か。カタリ派への十字軍派遣と酷い処刑。現在のフランス建国の歴史、そしてオキシタン語など新たに知ることばかり。歴史は勝者により造られる。しかし敗者も僅かな痕跡は努力で残る。重厚感溢れる作品。
2017/05/04
ehirano1
「アキラ、私たち歴史家の仕事は・・・私たちはそれまで見えなかった過去を見えるようにしなければならない。見えているのに気づかなかったり、見ようともしなかった過去を明瞭にするのが任務だよ」。だから本書の主人公は『手稿』に拘ったのだということが理解できます。
2021/11/26
ehirano1
カタリ派信仰の柱が「善悪二元論」と「キリスト仮幻説」で、三位一体も認めず、キリストの復活を否定・・・・この世の目に見えるモノは全て悪の具現であり、不可視的なものその神の創造物で、キリストが人の形取ったとすれば、悪の産物となってしまう、と。なるほどこれは分かり易いですね。
2021/01/16
ehirano1
「オクシタニア(佐藤賢一)」を思い出し、出てくる用語がいろいろと懐かしいです。しかし物語は上述のオクシタニアとは全く異なり、D.ブラウン系(ダビンチコード、インフェルノ等)のような感じがします。そうであれば、クリスチーヌがかなり怪しい、ということになりますねwww。
2020/03/15
ehirano1
どうも、著者自身がカタリ派の名誉回復を強く願っていることが伝わってくる本書。主人公の母親の生まれ故郷がカクレキリシタンという件(p105~)で、ふと著者の出身地をググってみると、なんとその近辺のような気がします。これは事実を元にした話ではないかと強く思いました。もしそうなら、著者=須貝(主人公)で間違いないですね。
2024/10/01
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