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葬送 第一部(下) (新潮文庫)

葬送 第一部(下) (新潮文庫)

葬送 第一部(下) (新潮文庫)

作家
平野啓一郎
出版社
新潮社
発売日
2005-07-28
ISBN
9784101290348
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葬送 第一部(下) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

ショパンの出番は極めて少ない。ショパン伝かと思って読み進めていた身には、やや不満が残らないでもないが、それを補って余りあるのが、巻末のドラクロワの手になるブルボン宮(国民議会)図書館の天井画の描写だ。平素は見ることができないようだが、機会があればぜひ見てみたいもの。この巻のほとんどは、多分に山師的なところのある彫刻家のクレザンジェが掻き乱した旋風によって翻弄されるサンド夫人を描いていたとも言える。そして、それはもはや魅力的な存在からは遠いように思われる。ショパンとの別離も、もはや時間の問題であっただろう。

2016/07/18

のぶ

下巻に入り早々にショパンが倒れ、重態に陥ってしまう。まだ先は長いのにこの先どうなるのかと思った。話はサンドの娘ソランジュと、彫刻家クレザンジェの結婚に中心が移る。この部分もとても興味深いのだが、自分はこの話を知らなかった。後半に用意されるショパンとサンドの運命の流れから考えると史実のようだ。終盤にようやくショパンの登場も多くなった。全体を通して物語が常にショパンの持つ暗い雰囲気に支配されているような気がした。最後のドラクロワの壁画の描写が圧巻。第二部に入ります。

2016/06/14

優希

濃密な昼ドラの香りがします。人間の愛憎、芸術観念、哲学が詰め込まれつつ、ドロリとした反社会の意識があるように思いました。

2022/12/14

かみぶくろ

4.1/5.0 もともと心理描写や芸術論などは超読み応えありましたが、ここにきて物語的にもだいぶ面白くなりましたね。繰り広げられてるのはバカップルの結婚を取り巻くいざこざと、振り回される家族たちの苦悩っぷりで、ある意味三文芝居なんですが、それぞれの醜悪ささえ漂う身勝手かつ精密な心理描写に、ドキドキしながらページを捲る手が止まりませんでしたね。あと、天井画を描き上げたドラクロワの命燃やし尽くした感、そのわりに得られる喜び少なめ感、むしろ一方的に奪われただけ感に、真の芸術家の凄味を感じて感動しました。

2024/08/23

崩紫サロメ

ジョルジュ・サンドの娘ソランジュの結婚、サンドとショパンの破局のあたり。この話、不思議な構成で、サンドとの出会いからではなく、破局に至る過程から描いている。でも、読んでいると、ずっと昔からこの家族のいざこざを見てきたような感じで、ここの話もハラハラしたりイライラしたりしながら読めてしまう。

2020/10/22

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