あなたが、いなかった、あなた (新潮文庫)
あなたが、いなかった、あなた (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
いずれもが「新潮」をはじめとした文芸誌に掲載された11の短編を収録。中には「一枚上手」、「クロニクル」や「慈善」のように通俗的な(わざとそうしたのだろうが)ものもあるが、概ねは実験的な文体と手法を試みたもので占められる。「やがて光源のない」、「義足」、「異邦人#7-9」、「モノクロウムの街と四人の女」は、いずれもシュールレアリスティックな色彩を帯びつつ、それぞれに固有な小説世界を形成している。とりわけ「モノクロウム」の極度に造形的でツクリモノめいた感覚は、他に類を見ないものかと思われる。
2017/09/02
アマニョッキ
なるほど平野啓一郎さんが実験小説を書くとこうなるのですね。すごく面白かったけれど、多分半分も理解できてないんやろうな。「女の部屋」とか誰かにズバッと解説してほしい気もするけど、解説とかで楽しむ小説じゃないんですよねきっと。基本わたしは平野さんの撰ぶ言葉に惚けるたちなのですが、途中やおら鼻持ちならない気分になったりもして、結局は平野さんの掌で踊らされている次第でありました。冷たくされてもやっぱり好き、みたいな。惚れたが負けですね、はい。
2018/11/17
かみぶくろ
3.8/5.0 天才作家様の実験的短編集。内容のみならず手法も含めて実験的で、筆者の思考能力と表現力の深さ広さを堪能できます。冒頭の人が老いとともに砂になっていく話、なんともいえない哀切さがあって、かなり好きだなあ。
2024/08/10
水色系
平野啓一郎さんの昔の作品が知りたくて手に取る。が、全体の2割くらいしか頭に入ってきてないような。難解。1作目「やがて光源のない澄んだ乱反射の表で……/『TSUNAMI』のための32点の絵のない挿絵」の、加齢とともに砂化していく人間の話はなんか好きだった。
2022/01/07
ヨクト
挑戦的、意欲的、実験的な作品ばかりの短編集でした。「鏡」は短いですがドキッしました。あとは「義足」も好きですね。
2017/01/13
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