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貝のうた (新潮文庫 草 291-1-A)

貝のうた (新潮文庫 草 291-1-A)

貝のうた (新潮文庫 草 291-1-A)

作家
沢村貞子
出版社
新潮社
発売日
1983-03-01
ISBN
9784101291017
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貝のうた (新潮文庫 草 291-1-A) / 感想・レビュー

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もえ

亡き母の蔵書の中の一冊。長門裕之や津川雅彦の叔母でもある沢村貞子さんの半生を描いた自伝で、NHK朝ドラ「おていちゃん」の原作でもある。お貞ちゃんの前半生である明治の末から昭和の終戦の頃までは男尊女卑の時代でもあり、彼女の母も家政婦がわりに扱われていたし、女に学問はいらないという時代でもあった。そんな中で教師を目指し女子大に通い、左翼劇場の女優になり、二度の逮捕投獄という経験をしたお貞ちゃんの壮絶ながらも真摯な生き方に胸打たれる。いつも「貧しい人たちに幸福を」と願った彼女の生き方は不器用だけど共感を覚える。

2021/07/30

mawaji

先に読んだ「私の浅草」がとても面白かったのでもう一冊、ということで手に取りました。べらんめえ口調で伝法な父の「チェッ」という舌打ちで始まる生い立ちから引き込まれるように読み進み、NHK連続テレビ小説「おていちゃん」の原作ということからほのぼのとした展開かと思ったらさにあらず、左翼演劇人として波乱に満ちた半生記でした。解説にある佐多稲子さんの「青春を充分なやむことができた、と云い得ることは、青春の時期を、誠実を求めて、真剣に生きた、ということなのだろう」という言葉はほんとうに意味深いものであると思いました。

2020/04/19

ゆうゆう

沢村貞子さんの戦争が終わるまでの半生。大変な時代に、下町育ちのさっぱりとしたきっぷの良さ、仇になったような青春なのかもしれない。憧れの教育の世界は裏を見せられて、人々のためと信じて進んだ道は、薄い絆の夫に傷つけられ、女優道を進むしかないと決意させる。さばさばと書いているが、いや、まて、相当大変なことを…時代だとしても、思想信条を問われるとはこんなに恐ろしいものなのか。ジャンヌダルクのようなこの方の存在を知ったのはつい最近。損をしていたような気分だ。

2018/01/19

けいちか

津川雅彦と長門裕之の叔母ということくらいしか知らないまま読み始めたが、明治末期から終戦までの浅草界隈の暮らしぶり、歌舞伎界の周辺の人たちの様子など、当時の政治的な活動の様子などが垣間見れた。「私の浅草」も読んでみたい。

2014/04/24

ずっと読みたくて絶版で、やっと探し当てて読んだ。私が知っているのはしゃんとしたおばあさんの姿で、意地悪だけどコミカルなお姑さん役が多かったけれど、素顔は一途で潔癖な少女のような人だった。幸田文の作品群同様、いつまでも手許に置いておきたい一冊。

2012/01/14

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