クレオパトラ 下巻 (新潮文庫 み 11-14)
クレオパトラ 下巻 (新潮文庫 み 11-14) / 感想・レビュー
優希
まさに波乱万丈とはこのことを言うのかと思いました。シーザーの突然の死は、運命を狂わせるかと感じさせるほどの衝撃であったに違いありません。更に、新たに恋するアントニーの登場により、地中海世界は不穏な空気から波乱の渦へと流れていくことで、クレオパトラは愛と国と戦乱に自らを投げ込んだとしか考えられませんでした。運命という名に身を任せたからこそ生ききった人生があるとも言えるでしょう。流麗な世界観と筆致が描き切った世界に魅せられました。
2018/05/15
aoko
シーザー暗殺からクレオパトラの死まで。女王として成したことがほとんど書かれていなく、書かれていたのはシーザーやアントニーとの結婚(しかも2人とも妻帯者)の追求だったので、クレオパトラの魅力がよくわからなかった。シーザー死後のアントニーは時の権力者という以外魅力はないと思うので、子たちの父親として後ろ盾になってもらうくらいにすればよかったのに、と思う。エジプト女王の国を超えた壮大な恋愛物語だった。
2023/09/10
rodinnk
長編であるのに、歴史物としては非常に駆け足、恋愛物としては内面描写が少なすぎて、いずれも中途半端な感じが否めない。にもかかわらず、一気に読み切れたのは宮尾さんの筆力の他ない。女王に忠誠を尽くすアポロドロスやカルミオン、貞淑な妻オクタヴィアや最終的なローマの覇者オクタヴィアヌスらの視点からの物語があれば、是非読んでみたい。
2015/05/06
shou
武人らしさの見えないアントニーは情けなさ過ぎて何故彼女が恋したのか疑問だし、オクタヴィアヌスも意地でも美形には書かないw 結局は王家の女性という視点であって、共和政ローマとそこに拠って立つ男たちを理解しないまま終わってしまった。女性らしい可愛さのあるクレオパトラ像だけども、もう少し彼らと渡り合った知性のきらめきを見たかった。
2013/08/04
Hiroshi Takeshita
エジプトは、当時世界一の富める国で、ナイルの賜物は、土なのである。土は、砂と粘土と、生物の死骸から出来ていて、地球に魚が発生した時代にはまだ無い。それが、悠久の時を経て、ありとあらゆる生命のかけらを取り込んで、増えて、エジプトに注ぎ込まれる。また、ナイルの源は、中央アフリカで、そこは、多くのの生命の誕生の地でもある。そう考えると、生命は生命によって生かされてきたという当たり前の事に、より実感を持つ事ができる。ハーバーボッシュの功績はひとまず忘れて。因みに、ウクライナの土は世界一らしい。まったく勿体ない。
2024/10/06
感想・レビューをもっと見る