男どき女どき (新潮文庫)
男どき女どき (新潮文庫) / 感想・レビュー
yoshida
短編と随筆からなる作品集。短編も中身が凝縮されており無駄がない。日常の生活にある緊迫感が読んでいて引き込ませる。随筆も実に滋味深い。メモを着けた文章が沢山ありました。「独りを慎しむ」で自由のあまり、慎みがなくなるのも共感出来た。独り暮らしの長い私も気を付けねばいけない。明治生まれのご両親による「壊れたと壊したはちがう」、「無口な手紙」、「黄色い服」が実に良い。自立心と責任を学ぶことが出来る。そのまま、今の時代にもあてはまるかは分からないが、通じるところはあると思う。多くの方に支持されるのも納得の作品集。
2019/02/02
ykmmr (^_^)
「オトコが得か?」、「オンナが得か?」と時に考える事がある。どちらでもそれぞれ、役割もあり、一長一短な気がするし、時代も『多様性』を重視だし、身近にもそういう人がいる。作者曰く、「何事も成功する時は”男どき〝、巡り合わせが悪い時を”女どき〝。」という。確かに、男女の『性格』が合わさる時の『歪み』がそうなのかな?と。「壊したのと、壊れたのは違う。」確かにそう。「自分の責任⇔不可抗力。」という事。そんな彼女の『哲学』と『人生経験』・『父からの教え』が組み込まれた4篇の小説と後半、『随筆』で固められた遺作。
2023/02/26
YM
いきなり台所にバケツが置かれていて、その中に生きた鮒がいたらびっくりするわなあ。。でも、その理由を家族の中で自分だけは知っている。鮒吉…。それなりに生きてくると、誰でもドラマチックなことってあるよなあ。僕も今の自分を2ヶ月前には想像できんかった。これから2ヶ月後の自分もまた想像しきれない。だから人生はおもしろい。生きてるからこそ。痛いことも、嬉しいことも。生きてるからこそなんだ。
2015/03/08
アキ
「鮒」「ビリケン」「三角波」「嘘つき卵」の短編4篇と、エッセイ多数。短編は、昭和56年7月から10月まで小説新潮に掲載された。「思い出トランプ」の短篇で直木賞を受賞して、翌年の「嘘つき卵」が最後の短編となる。昭和56年8月22日台北から高雄へ向かう飛行機が墜落し、51歳の生涯を閉じた。4篇とも不穏で暗い短編である。男と女の感情の機微を炙り出している。昭和の時代を感じさせる小説だが、どれも味がある。
2024/06/09
じいじ
向田邦子の形見となった作品集。4短篇小説と21エッセイを収載。とりわけ短篇は、理屈抜きに面白かった。一男一女の家族四人の朝の団欒を描いた【鮒】。微笑ましい場面が映像になって浮かんできます。私的には、結婚5年目、今か今かと一家を挙げて二世誕生を待ちわびる【嘘つき卵】が断然好きです。妻は「二人で一日も早く病院に検査に行こう」と急かします。しかし、夫は「子供は授かりもの、慌てるな」と、煮え切りません。さて、この夫婦に子供は…? 不慮の飛行機事故が悔やまれます。『男どき女どき』の第2弾が読めないと思うと…尚更に。
2022/02/06
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