少しぐらいの噓は大目に ――向田邦子の言葉 (新潮文庫)
少しぐらいの噓は大目に ――向田邦子の言葉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
おさむ
今年は、向田さんが亡くなって40年。本著は全作品から名言や名セリフをセレクトした。時代を超えてエッセイや小説は支持されており「古典になっている」と評されるのも当然ですね。「言葉のオシャレはファッションのように遠目で人を惹きつけはしない。無料で手に入る最高のアクセサリー。長い人生でここ一番という時にモノを言うのは言葉」とする一方、「放送コードで汚い言葉や差別用語を禁止する様になりましたが、残念でなりません。人間が生きていくためには、綺麗事だけで済むわけがありません」とも言う。絶妙なバランス感覚が素晴らしい。
2021/05/04
ぐうぐう
向田邦子が遺したエッセイや小説、シナリオから名言とも呼ぶべき印象的な言葉をテーマ別に抜粋した『少しぐらいの嘘は大目に 向田邦子の言葉』。こうやって一部だけを抜き出した言葉を読んでいると、向田が脚本家からエッセイスト、そして小説家へと仕事の幅を広げていった理由が、なんとなくわかる気がしてくる。編者の碓井広義も触れているが、脚本にはト書きが存在するものの、台詞がメインとしてある。台詞以外の部分は演出家のテリトリーなのだ。向田は演出の範疇にも創作者としての意志を示したかったのではないか。(つづく)
2021/04/12
ドナルド@灯れ松明の火
向田さんの作品の中から、色々な視点から選ばれた向田さんらしい文章をまとめた労作。いやー大変に時間がかかったと思う。選ばれた短い文章からその作品の内容が思い出される。山本夏彦の向田評「突然あらわれてほとんど名人」はまったく言いえて妙である。 お薦め
2021/05/28
かおる
⭐︎3「そして一私は決めたのです。反省するのをやめにしよう一と。」
2021/10/31
あまみ
向田邦子の言葉を、男と女の風景、家族風景、生きるということ、自身を語る、向田邦子の「仕事」、食と猫と旅との6章にまとめている。この本の著者はおそらく、向田邦子の全作品(エッセー、脚本、小説)を長年何度も読んでいたのだろう。よほど向田邦子に傾倒している。文学を研究する学者と言ってもいいと思う。△向田邦子の作品は昔結構読んだが、改めてとりあげた短い文を読むと、当時感じられなかった、とてもいい味がある。考えさせられるものもある。ちょっとした時間があるとき時々手に取って読んだものだが、いい本だと思う。
2021/06/16
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