卵の緒 (新潮文庫)
卵の緒 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
表題作ともう一篇の中篇からなる瀬尾まいこさんのデビュー作。2篇ともに一般的にな形態からは逸脱した家族像を描きながら、これほどまでに純化された家族愛を描いたものもなかなか見当たらない。また、「卵の緒」も「7's blood」も、ともに主人公は本質的な孤独を抱えているにもかかわらず、それを超克する「軟弱な強さ」を持っている。「卵の緒」の結末には、心の奥がじんわりと暖かくなるし、「7's blood」では、こんなところで終わるなよと、せつなさがこみあげてくるのである。甘いなあと思いつつも推薦。
2017/09/11
馨
あったかい話でした。血の繋がりがなくったって、大好きな家族であることに変わりはない、育生のお母さんが素敵でした。
2017/05/07
zero1
私は母子の証をこの作品に見た!血は水より濃いか薄いか。家族って何だ?人の繋がりを描いた父親不在のデビュー作。小学生の育生は母と生活。ある日、へその緒を見せるよう言ったところ「卵で産んだ」と答える母。登校拒否の池内君と母の結婚。散漫だがこの頃から文章は生きている。光っている。本屋大賞「そして、バトンは渡された」の原点はここにある?父親不在は後の「幸福な食卓」も同じ。瀬尾も父親がいなかったという。自身の経験が作品に強く影響するのは当然だが、彼女の場合はそれが欠損家族で表現されている。解説はあさのあつこ。
2019/06/10
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️子供の本棚から拝借しました。中1の時の課題図書とのこと。瀬尾さんは初めて手に取りましたが、実に繊細な読んでいて心に沁みてくるような独特な感覚がある文章でした。短編二つはどちらも複雑な家庭環境ですが、どこにも違和感は全く感じず、心の琴線に触れる動作や仕草、視線の動きの中の逡巡を巧みに表現される筆力に驚きました。これがデビュー作品との事ですので、遅まきながらこれから著者の本を追いかけてみたいと思いました。
2014/12/17
Willie the Wildcat
”緒”の意味が深い。2作品、どちらも血のつながりを超えた「家族愛」を感情豊かに表現し、それぞれの人物像にしっくりくる。思わず感情移入してしまう内容だった。知人の紹介で手にしたが、別の作品も読んでみたくなった。。
2011/08/15
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