芸術脳 (新潮文庫)
芸術脳 (新潮文庫) / 感想・レビュー
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芸術家は人間や社会の行く末をよく見抜くというが、現代社会が失いかけているものや、逆にこの時代にこそ立ち現れてくる何か、感性や表現力とも違う、もっとガサガサした粗い芸術の源泉のようなものが、茂木さんとの対話の中からそれぞれの形で匂い立ってくる。聞き手の茂木さんもさすがというべきか、何かを面白いと感じるときの言語化できていなかった何かを、さらりと言葉に変換して対話を深掘りしていて、しきりに頷きながら読んだ。こういう、分かりにくくて一言では表せない余白のような領域に、「豊かな芸術」の源泉はあるのかもしれない。
2019/12/15
こーよー
「コメディーは時間の経過した悲劇だ」これは名言。思い出しても、2度と経験したくない場面だったり、すぐさま赤面してしまう場面だったりする。他にはユーミンとの対話がお気に入り。
2016/11/01
あいくん
☆☆☆茂木健一郎さんが11人のクリエィティブなアーテイストと対談した記録です。佐藤雅彦さん、内藤礼さん、小野塚秋良さん、いとうせいこうさん、松任谷由美さん、ヒロ杉山さん、リトル・ブリテンさん、菊池成孔さん、リリー・フランキーさん、布施英利さんです。アハ体験について、一日ひとつの気づき、一日一回「あ、わかった」という体験をしようと茂木さんはいいます。 熱中するとかクレイジーということは大事なことです。 茂木さんは子どもの心を忘れていない人です。
2016/01/14
ぐるぐるシュルツ
一つ一つの対談が濃い。それぞれの顔が浮かぶ。茂木さんとの微妙なコミュケーションの感じも読み取れるから面白い。「夢中になる。全てのリズム感。仮の場所と本当の場所はイコール。喪失と獲得。強いイメージ力が作る質感。自分の毒を制する。自分を笑わせない。イーオン時間とポリリズム。ユーモアは知性。日々の暗澹は続く。立つもの。自分の中から彼岸に送り出す。つまりは手放してものを考える。執着しない。」日々が一人一人に刻んで、刻まれていく感覚を味わった。対談ものって意外と面白いな。いくつかの言葉をつまんで、しばらく反芻する。
2019/07/04
momo
佐藤雅彦氏との対談が気になり手に取ったが、対談相手には内藤礼、リトルブリテン(!)、リリーフランキーも。茂木氏:「(アートの本質とは)文脈を外して、作品自体と向き合った時に虚心になにを感じるかがすべて」。格言(英国?):「コメディは時間が経過した悲劇だ」「世の中は、感じる人にとっては悲劇だが、考える人にとっては喜劇だ」。島田雅彦:「小説ってもともとある国の言語体系を示すものだった。夏目漱石や森鴎外の散文っていうのは、そのときに日本で使われていた言葉がカタログのように全部出てくる」。思わず納得。
2011/07/26
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