狂気という隣人―精神科医の現場報告 (新潮文庫)
狂気という隣人―精神科医の現場報告 (新潮文庫) / 感想・レビュー
キムチ
8章構成で述べられる内容は、筆者の同様の著作と同じく、一貫して「司法と医療の連携・うつ病とそれにともに自殺の問題」がページの大半を占める。幾つもの人生が語られるがその重みはこちらの脳にもズ~ンとくるのですらっと読めずまさに呻吟読書。今回は8章が特に興味深く「実名報道・人口の一定割合はいるサイコパス・・保安報道vs人権派・触法精神障碍者そして待たれる正面切っての議論」それにしても筆者ものに惹かれる理由が古今東西、音楽文学絵画に造詣が深いこと。随所に引用されている。
2016/01/28
まさきち
朴訥で淡々とした文章の裏に、精神病感謝に対する司法や世間の考え方、取り扱い方に対する著者の激しいを怒りを感じられる一冊。
2015/11/19
ころりんぱ
いたって冷静過ぎる臨床精神科医が、あんな人もいたこんな人もいた、と現場の実態と、日本の精神科医療(主に触法精神障害者)の問題点について語っている。専門家が一般人向けの内容を語るには限界があるのか、むしろ森達也さんのあとがきの方がすんなり読める。ただ、ひたすら思うのは、100人に1人がかかるといわれる、統合失調症…しかも若いうちに。病識を持っているかどうかが、早く適切な治療を受けられる鍵だという。誰にとっても他人事とは言えないと思うから、タブー視せず学校の保健などで知識を身につけるべきだと思う。
2013/12/07
GAKU
著者の恩師は生前「人類の三分の一は統合失調症である。」と断言していたとか、「思考や行動のパターンが統合失調症的な人の割合は、全人口の10から20%近く存在していると言っても誤りではないと思う。」との著者自身の発言とか、冒頭よりいきなり驚嘆すべき記述が。ゆえの「狂気という隣人」というタイトルか?実際の統合失調症の発症率は、総人口の約1%程度だそうです。それでも100人に1人とは!この著書に限らず常に著者が主張しているのは、触法精神障害者を「存在していないもの」として不可視の領域に押し込めるか、⇒⇒
2016/01/30
ねこまんま
精神障害を患う犯罪者はその後どうなるのか。日本は司法が介入せず、医療機関に丸投げである現状への憤りが感じられる一冊。割と重篤な精神障碍者や薬物常習者の例が挙げられている。彼らが治療を受けたり社会訓練を受ける施設が日本にはない。これだけ犯罪が増えているのに、こんなんでいいのか?刑務所に入らないからって、野放しはいかんだろ、見てみぬふりどころか、無かったことのように娑婆にいるなんて、危なすぎる。薬物はともかく、障害は本人のせいじゃないし、世界的に見ても一定の割合で存在するのだからちゃんと対策するべきなのになあ
2016/02/09
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