優駿(上) (新潮文庫)
優駿(上) (新潮文庫) / 感想・レビュー
ろくせい@やまもとかねよし
サラブレッド。Thoroughbredが元来もつ「徹底した人為的育種」を批判的に抱えながらの読書。サラブレッドは競走成績で冷酷に評価される。良い牝馬に良い牡馬を人為的に交配させ、良いサラブレッド産出を目指す。しかしそれらの成績は必ずしも血統に依拠しない。静内の弱小厩舎で産まれた奇跡的なサラブレッド。それに関わる人々の人生を対比しながらそれに重ねる。馬主の社長の娘は何不自由ない環境だが、不倫の息子は恩恵を受けないだけでなく死が迫る。娘の寛容性と叩き上げ秘書の論理性、エリート騎手と叩き上げ騎手も描写(下に)。
2020/06/17
遥かなる想い
斉藤由貴を思い出す本小説は確かに面白かった。登場人物が持つ「想い」がよく描かれていた。
2010/05/09
ykmmr (^_^)
北海道の弱小牧場に産まれた競走馬候補、『オラシオン』を軸に、その馬の人生に関わる人たちの物語。どんな事でも、1つの物を生み出す事に様々な過程がある事は言うまでもないが、馬育て・牧場の運営などの当たり前の内容の中に、恋愛・友情などの話題を組み込まれ、それが上手く纏められている。博正と久美子の関係が、著者の代表作『螢川』・『青が散る』を彷彿とさせる。複雑な過去を持つ、久美子の父のこの先も含めて、下巻を早く手を取るように、輝さんに誘導されてしまう。
2021/10/11
みゆ
北海道の小さな牧場で生まれたサラブレッドの仔馬。馬と人間との愛と信頼の清らかな物語かと思いきや、結構ドロドロの人間模様(^-^; でも馬主となる会社社長のアクの強さは好きですね。昭和のバイタリティを感じます。奥付を見ると1986年の作品。バブル真っ只中、競馬もフィーバーしてたなぁ。懐かしさと共に下巻にGo!
2023/04/28
夜長月🌙@新潮部
競走馬は血統が第一。競馬をやる人にとっては当たり前のことなのでしょうが、繁殖の仕組みや種付けの価格など驚くことばかりでした。そして並行して進む深い人間ドラマ。人の血統は親子関係と呼ばれます。あまりにも空疎な血縁関係を持つ準主役に憤りを感じながらもその人徳に惹かれたりもします。人間くさい人間たちの希望や絶望がないまぜになり、優駿たるオラシオンとの今後の関わりが気になります。急ぎ下巻へ。
2022/05/06
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