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好き、だからこそ (新潮文庫)

好き、だからこそ (新潮文庫)

好き、だからこそ (新潮文庫)

作家
小手鞠るい
出版社
新潮社
発売日
2010-11-29
ISBN
9784101309750
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好き、だからこそ (新潮文庫) / 感想・レビュー

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masa

出オチ気味のタイトルに少し心配する。球児って子が名前負けせずプロ野球で活躍するくらい難しいよって。知らんけど。心配無用だった。どれも静かな立ち上がりから転調し怒涛のサビが熱い5編のポップロックな連作短編集。二十年のときを一気通貫する『好き』の痛さ、儚さ、透明さ、硬さ、強さ。まだあるかな?読後、僕は探した。心の奥の奥、ずっと昔に冷凍保存した『好き』を。見つけ出し、机の上に置き、ひとしきり眺め、想像でこねくり回す。まだ堅い。味を思い出そうとするけど、うまくいかない。解凍せずに、結局しまった。好き、だからこそ。

2018/02/16

おうち時間

ゴンちゃんと風子の出会い、結婚、離婚を描いた「空は何色」から始まる5篇の連作短編のような感じです。作中出てくるフォークソングが懐かしい。ゴンちゃんと河野さんがバカ正直なほど自分の気持ちを優先しているのに対して、風子も河野さんの元妻である夏来も自分の本心は隠して生きていたのですね。河野さんが夏来の自殺の原因が自分が彼女から何かを奪い、踏みにじったと思っているのに「愛する人に歌いたい」で自殺の理由が全く別の事だった事実に驚きました。最後まで読むと『好き、だからこそ』というタイトルがとてもしっくりきました。

2024/02/03

KAKAPO

好き、だからこそ許せないことがある。好き、だからこそ言えない秘密がある。好き、だからこそ誰かを不幸に陥れたとしても手に入れたい愛がある。好き、という気持ちは理屈では説明できないと言われるけれども、そこにこそ人間らしさが秘められているのかもしれない。しかし、もう一方で人間は生きて行かなければならない。誰かから手を差し伸べられることで、生を繋いで行くことができる。その時に生まれる情は、好き、ということと同じなのだろうか?小手鞠るいさんの世界に登場する女性たちは、いつも健気で自分自身の感情に正直に生きてゆく。

2014/12/16

coco夏ko10角

5つのお話収録の連作短編集。『愛する人に歌いたい』のナツキの話が良かった。

2015/03/06

エドワード

山添風子と大岸豪介は恋をし、結婚した。画廊の娘とレストランのコック。京都、百万遍の風景が目に浮かぶ。豪介が子持ちの未亡人と浮気したため、東京へ戻った風子は、自動車会社勤務の河野と出会い、恋に落ちる。河野と移り住んだアメリカで出会った女子大生、若菜は豪介の義理の娘だった…。もっと入り組んだ人間模様の妙が描かれているのだが、人の出会いの数奇さ、通い合い、すれ違う心の切なさが押し寄せて来る。豪介危篤の報に急遽帰国する若菜。若菜に何も告げず、空港へ彼女を送る風子の車、二人が心密かに同じ人の無事を祈る終幕に心和む。

2016/08/16

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