美しい心臓 (新潮文庫 こ 40-7)
美しい心臓 (新潮文庫 こ 40-7) / 感想・レビュー
青蓮
タイトルに惹かれて手に取りました。苦しいまでの彼への思慕。好きになったら、愛してしまったら、たとえ人の道から外れる恋愛だとしても、止められない--強い感情が狂気のように迫ってきます。光が強ければ強いほど、その影が濃くなるように、不幸が募るほど、訪れる幸福がどれだけの喜びになるのか。目眩がするほどの多幸感に包まれて--しかしその後ろにのし掛かる罪悪からは逃れられない。何処へも行けない、未来はない、過去しか残らない、恋愛。でもそれは紛れもなく純粋な感情だった。胸に突き刺さる珠玉の言葉たちに胸を締め付けられて。
2016/02/04
優希
愛のための死というのが刺さります。DV夫からの逃れと禁断の出会い。導かれるように出会った「わたし」と既婚者の彼の密会が魂の救済になっていくのが甘い官能の魂の呼応のように思えます。互いに既婚者ではあるけれど、その愛は悪魔的な純愛で、感情を突き詰めていけば死を願うほどというのが美しいと感じました。不倫という名で語られても「わたし」と彼の純粋な感情が見えます。最後まで名前が伏せられているからこそ、酔い仕入れることのできる世界だったように思います。
2016/05/18
はな
不倫を断罪している人たちはこの小説を読んで何と思うのかな。小説自体も良かったけど、島本理生さんの解説も。「純粋さや美しさが単に正しさを差すものだったら、世界はどれほど窮屈だろう、と。」
2016/02/12
絹恵
胸を掻きむしって、甘い記憶を溶かし込んでも、それは見果てぬ昨日と繋がるための鎖にしかなりませんでした。だからこそ愛を示す行為として名前を呼ぶと、重ねた鼓動を砕いてしまいます。そんな愛した昨日を閉じ込めるために彼の死を願うのなら、その時に漸く名前を呼べるようになるのかもしれません。それでも死なないでほしい、なぜならあなたのいない美しい明日が来るから。
2017/11/15
ピロ麻呂
小手毬るい2冊目。帯に惹かれて購入しました(^^)夫のDVに耐えかねて別居してる女性が妻子ある男性を「死ぬほど好き」になるストーリー。ありふれた話だけど、「好き」の表現がいいなぁ。共感できる。そして愛しすぎたが故の嫉妬…男性の奥さんに白紙の封書を投函したり、後をつけてみたり。完璧にストーカーやけど、その気持ちは分からんこともない(>_<) 不倫って「嫉妬」と「スリル」が愛する気持ちを盛り上げるのかも…
2016/01/31
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