ロリヰタ。 (新潮文庫)
ロリヰタ。 (新潮文庫) / 感想・レビュー
青蓮
「ロリヰタ。」に出てくるファッションブランドが懐かしい。本作は野ばらさん自身を思わせるロリータファッションを愛する作家の「僕」が9歳の美少女に恋する話。こうして書くと邪な、インモラルな関係だと思ってしまうけれど二人の間あったのは限りなくピュアな感情だった。そして「言葉」とは時として伝えたい思いとは乖離して誤読され、歪められてしまう怖さがあるのだと感じた。併録の「ハネ」も切ない物語。この2つの物語にあるのは異端ゆえに迫害され、苦悩、葛藤する姿だ。それでも己のスタイルを貫き通す主人公達の精神は気高く、美しい。
2016/05/26
林 一歩
本家ナボコフの「ロリータ」と比較するのは無意味だが、小学生との純愛物語だと言ってしまうには少し違和感がある。残念ながら、登場するブランドが分からないのでイメージも喚起できず消化不良。センテンスのリズム感は好みなのだが。
2015/01/28
kaoru
純愛物語として面白いし、ロリータファッションの主人公の物語として面白いのかもしれません。が、私の心に刺さったのは、社会の異分子である主人公が、大人の道徳の矛盾を突いているところ。何にしろ楽しめました。
2017/09/22
nadaha
嶽本野ばらって初めて読んだけどすごく観念的な小説を書くんだなぁ、と。正直気持ち悪い部分もあるが、話が90年代後期の援助交際が社会問題化した時代、00年代前半のメール黎明期、それが過ぎた後の出会い系サイトとかが出て来た頃の空気と合ってる。メール文化を感じる。LINE全盛の今では考えられない時代だ。尊敬に値する部分を持った相手とは年齢を超えて対等でいたいという気持ちはよくわかる。ハネ族の話は面白かったけど後味が良くない。流行り廃り、目立つことの危険。何からも孤立していく少女。寂しさがある。
2019/08/23
スナフキン
ロリータファッションを身にまとう作家の「僕」とたまたま撮影現場で駄々をこねていた少女モデルの「君」。ファッションのコーディネイトが縁で逢瀬を重ねるようになる。だが、二人の年の差が判明すると、「乙女のカリスマ」と呼ばれる「僕」は酷いバッシングに遭う。個人的には同時収録されている短篇「ハネ」の方が著者の初期作品らしくて好き。少女漫画チックであり、また、吉本ばななの名作「ムーンライト・シャドゥ」を彷彿とさせ、切なくて哀しい少女の生き様が涙を誘う。
2019/04/18
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