シシリエンヌ (新潮文庫)
シシリエンヌ (新潮文庫) / 感想・レビュー
青蓮
高校生の「僕」は年上の従姉妹に誘惑されて官能に目覚めていくーー濃密な性愛を描いた恋愛小説。過激な描写が多く読み手を選びそうな作品ですが、何処までも純粋であろうとした切ないまでの「僕」と従姉妹の恋は胸を打つものがあります。従姉妹は芯の強い女性だと思っていたけれど、読み進めるうちに実は弱さも儚げな脆さも抱えていた普通の女の子だと気付かされます。それにしてもラストが些か解せない。なぜ今更?「僕」は「永久に枯れない薔薇」の呪縛からは逃れられない。OPIUMの香りと「シシリエンヌ」の調べがいつまでも漂っている。
2018/02/06
future4227
下妻物語の作者が描く官能小説。スコポフィリア、ディスモルフォフィリア、ペドフィリア、アクロトモフィリア、アマロフィリア、ネクロフィリアと聞き慣れないアブノーマルな性癖が並ぶ。官能小説ではあるけれど、身体障害者の生きる矜持みたいな、重いテーマでもある気がする。登場人物の誰一人として本名がわからずじまいというのも斬新な手法だった。そして最後の最後まで「貴女」の気持ちが理解できず、主人公の「僕」と同じ苦悩を味わうことになる。
2020/07/10
ミツツ
出だしのあっはんうっふんを下衆い思いで読み始めたけど、彼らの愛を覗き観ているうちにすっかり虜になってしまいました。頭の中ではもちろんシシリエンヌのメロディを奏でながら。懐かしのDCブランドたちがとても良く効いています。
2018/07/30
らすかる
官能度100%の濃厚官能小説!! 描写が細かくて、ストレートな単語のオンパレードで読む場所選びました!いやいや美人の従姉妹さん、22歳で性のエキスパートってどんだけなんですか!! そりゃ17歳の男子は溺れちゃうよ? しかし彼女のエキセントリックな行動もラストで納得でき、最初の印象よりよくなりました。懐かしいデザイナーズブランドの名前もいっぱい。不思議な世界観、不思議な魅力の作品でした。おしえてくれた読友さま、(*´︶`*)♡Thanks!
2018/09/07
りりす
再読。阿片の名を持つ名香立ち込める、噎ぶように淫靡で退廃的空間にトリップするような御話。作中の倫理観、コイトス観は一般に共感し難く、結末などは「なぜその選択を。解るけどなぜ」と思ってしまう。けれど 共感出来ないからといってこの物語が私の好きな野ばら作品Best何位であることは変わらない。音楽、美術、そしてお洋服や生き方の美学の世界は、いつもより少し猥褻だけど、いつもの野ばらちゃんワールド。館の、アングラだからこそ自由な空気がとても好き。皆がわいわいしてる食事やファッションショーのシーンはワクワクします
2018/08/28
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