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舌の記憶 (新潮文庫 つ 22-2)

舌の記憶 (新潮文庫 つ 22-2)

舌の記憶 (新潮文庫 つ 22-2)

作家
筒井ともみ
出版社
新潮社
発売日
2007-07-01
ISBN
9784101311326
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舌の記憶 (新潮文庫 つ 22-2) / 感想・レビュー

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アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

病弱だが繊細な感覚を持った著者の少女時代の食べ物にまつわるエッセイ集。ドラマをあまり見ることが無いので、筒井ともみさんの作品を見たことがなく、書かれたものを読んだのも初めて。おとなしくおっとりとした母、精神的に不安定な叔母、酒浸りで影の薄い叔父の不安定なバランスの上で成り立っている家族。著者がかすがいとなって大人たちの間で神経を使っている様子が健気。味覚を伴うくっきりとした記憶が鮮やかで短編小説のような読み心地。解説は平松洋子さん。

2017/07/24

優希

記憶力にただ脱帽です。季節の香りと追憶を口にした味はどのようなものでしょう。

2022/05/22

ほほほ

脚本家・筒井ともみさんの自伝的エッセイ。なんとなく薄暗い。個人的に大ヒットでした。舞台は昭和の東京。登場人物は、野花のようにひっそりと大人しい無口な母と、アルコールをスポンジのように吸収する俳優の伯父、神経を病み、精神の薄闇に消えていきそうな透明な存在の女優の伯母。そして、そんな個性の強い家族をじっと見つめ、気を遣いながらけなげに生きる少女が筒井さん。幼いころから食が細いのに、食事に対してめちゃくちゃ神経質でこだわりがあるのがしぶとくてすごく素敵。この家族、小説に出てきそうですごく想像力をかきたてられる!

2015/09/13

くるみみ

どなたか作家さんのレビューで知り、興味が湧いて読んだ。予想以上にタイトルを上回ると言っていいほどの『舌の記憶』。0歳児の頃の記憶でもびっくりなのに幼稚園、小学生の頃と物凄く感心するほど詳細な料理や味覚と、作者の家庭や周囲の人々の記憶のエッセイ。1編づつ読んでいくと作者の家庭の(事情とは言いたくない)構成が垣間見えて昭和の空気感も相まって感じる切なさが懐かしかった。『母の唇とくちなしの実』『寄せ鍋嫌い』などしみじみ。読後はあれも食べてみたい、作りたい、と無邪気に思えなくてなぜかおじやが食べたくなった。

2020/09/05

sasa-kuma

タイトルが秀逸。食というよりも味覚といったほうが断然しっくりくる。味覚の記憶の記録が四季ごとにまとめられている。幼少の著者は食が細く病弱だけど、食へのこだわりはすさまじいものが。P266/もしも「家族」というものが、主である大きな木を中心にして各々がもたれ合ったり寄り添ったりするものだとしたら、私の家の住人は各々が自分の根っこに依って立つしかないきのこの集団だった。/読みながら既視感を覚えるのだが、冬に差し掛かったあたりではっとする。江国さんの描く家族の匂いがする。あぁ、こんな家族が実際にいるなんて。

2015/10/11

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