エデン (新潮文庫)
エデン (新潮文庫) / 感想・レビュー
遥かなる想い
「サクリフィス」から3年、 今度の舞台はツール・ド・フランス。近藤史恵が描く 自転車レースの世界は 読者に知らない世界を 教えてくれて面白い。 白石誓がフランスという 異国の地で与えられたアシスト…ミッコをアシストする 白石、そして若きフランスのホープ・ニコラ。 3週間にもわたる戦いの果て に得られたものは何だった のか?そして、ニコラと ミッコの争いの結末は? スポーツにおける光と 影を爽やかにえがいている …そんな物語だった。
2014/12/29
ヴェネツィア
『サクリファイス」の続編。今回の舞台は自転車乗りの憧れの極点ツール・ド・フランスである。舞台が大きくなった分、誓(主人公)も一層スケール・アップしている。そして、このレースを通しても誓の更なる成長が見られて、読者としての共感もいや増す。マイヨー・ジョーヌは私たち共通の憧憬と化すのである。また、全編の随所にナショナリズムがほの見えるが、これくらいなら可愛いもの。チームのエースのミッコ、そして新鋭のニコラ。登場する選手たちはいずれも個性が横溢し、とっても好もしい。
2024/05/26
ehirano1
今回の舞台はなんとロードレース世界最高峰のツール・ド・フランス。否が応でも期待が高まりますが、チカが所属するチームはレース前にスポンサー撤退によるチーム解散といういきなりの事態から物語が始まります。このような状況下、プロのアスリート達はどのようなメンタルを以ってどのようなパフォーマンスを繰り広げていくのかとても興味深く読みました。チカですか?、チカは日本人的な本物のプロでしたよ。
2017/08/12
さてさて
『そうは言っても、エースの順位だけ競うわけではなく、自分のリザルトも残さなくてはいけないわけですから、とにかく奥が深い』と語る近藤さんが描く自転車ロードレースの世界。それは日本にいる限りなかなかに理解できない、異国の文化の土台の上にあるスポーツの姿でした。そんな世界に飛び込み、『もしかすると、ぼくにとって、これが最後のグラン・ツールになるかもしれない』というチーム消滅の危機の中、奮闘、奮戦する白石誓の自転車ロードレースへの強い思いが描かれたこの作品。夢の舞台『ツール・ド・フランス』を強く感じた作品でした。
2021/05/15
zero1
ドーピングに汚染された自転車ロードレースを描くシリーズ第二弾。チカはフランスにいた。フィンランド人のエース、ミッコをアシストするのがチカの役目。だがスポンサー撤退でチームは解散することに。ツール・ド・フランスに参戦するものの、納得できない指示で空中分解の危機。ライバルチームのニコラと山岳勝負。ある取引を持ち掛けられる。チカの選択は?そして悲劇が・・・現実に薬物汚染は広がっている。「マイヨジョーヌの黄色は薬物汚染の色」と言われても仕方がない。このシリーズはまだ続く。
2018/11/22
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