軽薄 (新潮文庫)
軽薄 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ゴンゾウ@新潮部
頭では理解できない世界。モラルとは程遠い感情。おそらく本能で惹かれ合う、そんな感情。金原ひとみさんはモラルの臨界点を超えて男女の本能を描く。だめだ、だめだと思っても心の何処が感じてしまう。自分の中の軽薄な部分が共鳴してしまう。
2020/01/25
かみぶくろ
禁断の的な不倫小説。主人公の行動は、一般的な常識から鑑みて「軽薄」かつ「不道徳」かつ「非合理」だが、その一般的な常識を律儀に守り続けるこの日本という国がこんなにも息のしづらい自殺大国であるならば、常識からの離脱はむしろ道理といえるかもしれない。結果が破滅であったとしても、結局は自分の感情が滾る方へ着地点を定めるこの筆者の登場人物たちは、顔をしかめつつもどこか憧れてしまう人間臭さがある。
2018/10/07
M
簡単に言えることを小難しく言い回し、浅いものを深く、シンプルなものを複雑に、意味の無いことを意味深に、ひたすらにそういうことに徹しているかのような作品に思えた。主人公のカナ自身も周りとの関係性も、だから何か深い問題を抱えているかのようで実は軽薄で。信用出来ない小説。これって著者の意図を汲めたことになるのかしら(抵抗感)。
2018/09/22
優希
家庭がありながらも甥に激しい愛情を抱き、一線を超える。そのことが2人の空虚さと傷を結びつける罪と罰の純愛に酔わずにはいられませんでした。
2022/10/18
misa*
「軽薄」まさに軽薄であって小説の中でひどく嫌悪感を感じずにはいられない。なのに目が離せなくなってしまうのが金原ひとみさん作品。母親や立場的な括りがあるのに、どうしても「女」を捨てられない女性が、悩み苦しみ生きる道を探して貫く姿を描くのが上手い。決して現実ではそんな女受け入れられないのに、本の中ではその思考が覗き見出来ちゃうから、なんか好きだったり。でも、子供がいる立場からみるとあの息子はどうなっちゃうんだろう。
2022/07/30
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