夏の庭―The Friends (新潮文庫)
夏の庭―The Friends (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
過ぎ去った遠い、あの夏休みを思い出すような物語。男の子たちにとって、小学校6年生の夏休みは、特別なものであるのかもしれない。それ以前と、それ以降とは画然と違っているからだ。この物語に描かれた3人の少年たちにとっては、それがとりわけ大きな転換点になったのだった。ロマネスクな経験をしたわけでも、冒険に乗り出したりしたわけでもない。たった一人の老人に邂逅しただけである。しかし、そこから物語は死の問題、老いの問題、核家族の問題などと展開してゆく。いっぱいに開かれた感受性。青春の前の一瞬にだけ持ち得るのがそれだ。
2014/12/25
馨
おじいさんは最期に3人の少年と出会って人生輝いたでしょうね。 最初の目的はどうあれおじいさんと心を通わせていくうちに3人が自分なりに死について考え成長していく姿がよかった。コスモスを庭に蒔くシーンも素敵です。私も10年前に祖父が亡くなった時に少なからず3人のような気持ちになっていたと思います。あの世にも知り合いがいるって心強い、私もそう思って頑張っていこうと思えました。
2013/01/14
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️子供の本棚から借りました。中1の時の課題図書だった様です。実に爽やかなお話で表面的には人畜無害な感じのお話ですが、少年時代にしか出逢えないようなトワイライトゾーン『黄昏時』みたいな得難い時空間を感じる事が出来るなかなか深い作品で特に心がガサガサしてきた若い方々にオススメ出来る作品だと思います。たまにはピュアな気持ちになるのも良いもんです。
2014/12/09
zero1
死ぬとはどういうことか?息をしない?二度と会えない?死んだ人を見たいという好奇心から小6の「ぼく」(木山)、魚屋の息子でデブの山下、すぐキレる河辺の三人が夏休みの間、老人を見張ることに。ある意味、日本版「スタンド・バイ・ミー」といえる。ところが彼らの尾行は老人にバレバレ。三人はこの夏に起きたことを忘れないだろう。死を描くことで生きている奇跡が浮き彫りになっている。久しぶりに再読してみて、読書とは読者が毎回生まれ変わることだと再確認した。想像力があれば、経験したことがなくても人は別の人生を知ることができる。
2018/12/07
小梅
3人の少年と独居老人が交流し少しずつ心を通わせていく。 半分死んだような世捨人だった老人が人生の最期に少年達に出会えて良かった。 子供の頃の夏休みの匂いを感じる作品でした。 ラストは涙が出た。
2017/08/09
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