インパラは転ばない (新潮文庫 い 41-3)
インパラは転ばない (新潮文庫 い 41-3) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
いろんな媒体に書いた、旅あるいは移動にまつわることがらなどを集積したエッセイ集。1つ1つは短いので、じっくりと考察するというよりも、直感的に把握したものを池澤の文体で語ったという印象。それにしても、彼は片時もじっとしてはいない。『奥の細道』の冒頭部に「日々旅にして旅を栖とす」というくだりがあるが、まさに池澤の日々は旅の中にあるかのようだ。ある時は東北の尾根道をたどり、またある時はスーダンの砂漠を歩く。この紀行エッセイの特徴は、その地そのものを書くよりも、そこにいた池澤の感性を描いているところにある。
2014/12/16
piro
1編が数ページの短いエッセイを集めた1冊。サラッと読めてとても心地よいエッセイ集でした。何気ない旅先の風景や日常の出来事を語っているだけなのに、池澤さんが書くととてもキラキラしている様に感じられるのはマジック。そしてどうにも旅心を唆られます。特に南国の風や匂いが鼻腔を刺激する様に感じられるエッセイが堪らなくいい。それにしても、何て軽やかに旅をする人なんだろう。口惜しいくらいにカッコいいなぁと感じます。
2022/12/16
マツユキ
インパラと聞いて、思い出すのは、このタイトルなんですが、内容は覚えていない。古本を見つけて、再読。表題作は、山の道と街の道、転ぶ人と転ばないインパラ、下を見るか、前を見るか。どの話でも、池澤さんの物の見方が刺激的でした。それにしても、本当にあっちこっちに行っている。旅行というには、自然だなあ、と、思うのは、私が出不精だからか。旅、憧れます。平成七年出版なんで、その事を考えても、面白い。杉田比呂美さん絵も良い。
2020/01/05
紫伊
仕事や旅行で様々な国へ。さらっと読めてその国の空気が感じられて読んでいて楽しかった。歩くことで土地が見えて来るというのは良いなあ。あえてゆっくり巡ることで初めてその土地の良さを感じられるのは確かになあと噛み締めた。海外は行ったことがないので状況が落ち着いたら行きたい。
2021/12/19
shishi
[A]池澤夏樹の旅関連エッセイ。全体としては読者を旅へと誘う軽い内容のエッセイだが、細部は作家の透徹した目で見たものが語られており、質実剛健。
2014/06/01
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