KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

きみのためのバラ (新潮文庫)

きみのためのバラ (新潮文庫)

きみのためのバラ (新潮文庫)

作家
池澤夏樹
出版社
新潮社
発売日
2010-08-28
ISBN
9784101318202
amazonで購入する

きみのためのバラ (新潮文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

表題作を含めて8つの短篇を収録。いずれもが旅の途上(かならずしも文字通りの旅ではなく、隠喩的なものも)での邂逅を描く。個々の小説の基調に通奏低音のように存在するのは、一抹のはかなさと孤独だ。そうした感覚が、それぞれの物語に固有の場で紡がれてゆく。池澤はそうした「場」の持つ風情を伝えるのが実に巧みだ。もっとも、ユタやマジックマッシュルームといったあからさまなメルクマールはどうかとも思うが。そうした中では、「人生の広場」は、まさにパリでしか成立しないような物語。それほどまでに小説と場とが溶け合っているのだ。

2016/10/04

ミカママ

旅先で人と人が出逢うことをモチーフとした短編集。偶然は必然であり、出逢いは邂逅となる。最初から最後まで、夏樹さまの文章にシビレっぱなし。彼の書いた長編の元ネタも読めたりするので、ファン必読の一冊。

2018/06/07

しんごろ

静寂な時間を満喫しつつ、ひっそりといろいろな国へ行った気持ちになり、ロマンスをものすごく感じた。どう言葉に表現して感想を書いていいのかわからないけど、あえてあげるとすれば、一期一会、邂逅、合縁奇縁、というべきか。とにかく読んでで心が落ちつくのは確かなのは間違いない。読めば読むほどに味わいがでて、何度も再読したくなる短編集。自分にとっては、いい作品に巡り合えた。

2024/08/17

風眠

過ぎてしまえば、ただそれだけのひとときの出会いと別れ。生きている毎日の中で、そんな出会いと別れはいくらだってある。例えば、たまたま隣りに座っただけとか。そんな出会いと別れが、第三者からの視点のように淡々と、感情に走る事なく綴られている短篇集。身分違いで恋を成就できずに死んだ恋人の魂が、想いを遂げるため人の体に憑依する十夜。旅先の駅のホームでたまたま見かけた少女に「きみのためのバラ」と言って一輪のバラを手渡す男。物語に閉じ込めることで永遠になる。寂しいような、羨ましいような、余韻が心の中を吹き抜けていった。

2017/07/30

KAZOO

池澤さんの短編集です。長編はいくつか読んだことがあるのですが短編集は初めてでした。8編が収められていて世界各地での出来事を書かれています。出会いと別れがうまく物語の中にあってそれほど深刻にならずに読ませてくれます。読んだ後に静謐さが残ります。

2016/12/26

感想・レビューをもっと見る