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双頭の船 (新潮文庫 い 41-12)

双頭の船 (新潮文庫 い 41-12)

双頭の船 (新潮文庫 い 41-12)

作家
池澤夏樹
出版社
新潮社
発売日
2015-11-28
ISBN
9784101318226
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双頭の船 (新潮文庫 い 41-12) / 感想・レビュー

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おさむ

東日本大震災から来年ではや10年。池澤夏樹さんがあの厄災をモチーフに、こんな小説を書いていたとは。冒頭の「ベアマン」の強烈なインパクトで一気に、この世界観に引きずり込まれます。村上春樹の1Q84の冒頭の青豆さんのシーンを思い出しました。ボランティア、被災者、政治家、犯罪者、動物愛護団体‥‥被災地にも色々な人たちがいて、それぞれの思惑や正義がある。そんな複雑さを、暗くなり過ぎないよううまく寓話の形で描いているのは、さすが。皆が乗船している「さくら丸」は被災地、それとも、災後の日本社会の暗喩なのだろうか。

2020/11/14

みっちゃんondrums

池澤夏樹センセにしか語ることのできない3.11後の鎮魂と再生の物語。ユーモラスで軽やかで押しつけがましくなく、現実と神話的世界のあわいでふんわりとしていながら、被災のこと死者のことを思い起こさせ、人や社会について考えさせる。感傷や激情に持っていかないところや、こうじゃなければならないという決めつけがないところが好き。池澤作品の登場人物の、一つ所に留まらない自由さをいつもどおりうらやましく思う。千鶴とベアマンの話が生々しく際立っていて可笑しかった。

2016/02/16

しらたま

優柔不断な僕が軽い気持ちで乗り込んだフェリーは、被災地に向かうボランティア船。人数が増えるたび大きくなっていき、快適な避難所からユートピア、まさに方舟になっていく。亡くなった人生き残った人。どちらの傷も癒し、前に進めるような。登場人物たちが誰も印象深くて。ヴェットが連れてきた動物たちがだんだん減っていったり、コンドルの2人に導かれて、亡くなった人々が海の上に消えるシーン、胸が熱くなった。愛するものたちをきちんと送った先にだけ、本当の再生の未来があるのか?私は想像するしかないが、少しでも寄り添えたらと思う。

2020/02/07

秀玉

一話目で止める。つまらない。ナンセンス感。大人の童話、童話なら絵も入れて文字を大きくしてよ。ストーリーもちぐはぐ、どうなっているのというのが1話目の印象。なんで買ったのか、評価は高かったのだ。もう一度評価を検索して読む。短編なようでありながら、どんどん繋がっていくらしい。この支離滅裂で繋がるって??。それにしても、みなさん、なんでこんな良い評価なんですか。これぐらい、意味不明は描かれ方で、何をどう評価しているのですか、わたしにはわかりません。一話目で「裸になり、交わった…」。これ物語にどんな関係性がある。

2023/11/04

文庫本依存Hiro

『双頭の船/池澤夏樹』読了。東日本大震災をモチーフとした、現実的にはありえないような少し不思議(=SF?)的な筋立てにしながらも、そこに込められているひとつひとつの想いはどこまでも生々しい、そのコントラストにこそ人間の貪欲さを見出したくなる一冊。神話のような高尚な門構え。下世話なだけの欲情や劣情。すべてが両立しうる混沌とした世界の中で、多分、正解はただ顔を前に向けることだけなのだろう、と思う。

2016/03/02

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