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砂浜に坐り込んだ船 (新潮文庫)

砂浜に坐り込んだ船 (新潮文庫)

砂浜に坐り込んだ船 (新潮文庫)

作家
池澤夏樹
出版社
新潮社
発売日
2018-05-29
ISBN
9784101318233
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砂浜に坐り込んだ船 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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優希

哀悼に満ちた短編集でした。悲しみを乗り越える人々を美しく描き出す。優しいあたたかみの眼差しに満ちているように感じました。

2024/09/09

眠る山猫屋

静謐。喪失に満ちた短編集。座礁船を見に行った主人公が、今は亡き友人との邂逅を果たし、二人の関係性を見詰め直す表題作。ささやかな事象を改変することにより、未来の災害を避ける少年たちの本能。311の天変地異を経て、なお生きていく人々と喪われた人々の想い。一番印象的だったのは、喪われた姪と再会を果たす主人公の幻想的な旅路を描いた『上と下に腕を伸ばして鉛直に連なった猿たち』かな。前向きではないが、振り向くことのない物語群。静謐。

2018/10/11

ちえ

不思議な透明感がある。どれも生と死、悲しみや悼む気持ちを扱い、柔らかに包み込む9つの短編。私たちは文明や科学に慣れて「わかる」事しか見ないようになっているけれど、実際は悲しみや想いに呼応して死者がそっと隣に座ったり、私たちの行動には彼らの想いがどこかで働きかけているのかも…。作者の本は初読だと思っていたけれど、文庫版初収録の「美しい祖母の聖書」は以前読んだ『それでも三月は、また』の中でも心に残っていた。解説は堀江敏幸さん。

2019/06/30

Tadashi Tanohata

摩訶不思議な、「現世」と「来世」を繋ぐ9編のオムニバス。むこうに渡る瞬間であったり、あちらから友人がやって来り、コールがあったり。後ろに誰かの気配を感じながらも、ゾワッとするわけではなく、どこか懐かしく、どこか落ち着く。親父を見送ったあの時間が蘇る。

2019/08/30

エドワード

砂浜に坐り込んだ船。これは絵になる。表紙の絵だ。見に行きたくなる。すると声がする。本文中にもあるが、これは能だ。亡き友との対話。猿たちの話も亡き姪との対話だ。私の実家にこの猿が十匹繋がっているのがあり、どこか可笑しい、東西不思議物語という印象。「夢の中の夢の中の、」は、まず聊斎志異が頭に浮かんだ。まあ今昔物語なんだけど。震災で被災した人々を描く「美しい祖母の聖書」「苦麻の村」。「イスファハーンの魔神」のお父さんがうらやましいね。私もジニーと一緒に旅してみたい。もちろんイスファハーンへも。世界の半分。

2018/06/22

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