疑心―隠蔽捜査3― (新潮文庫)
疑心―隠蔽捜査3― (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
シリーズ第3弾。そもそもが、キャリアの警視長が主人公というだけで異例なのだが、それでも前2巻は警察小説としては、一応はストレートの真っ向勝負だった。ところが、今回は変化球の軟投派に大変身。竜崎自身もいたって軟弱に。エンターテインメントに徹しているといえばそうだし、一方、あくまでも原則を貫く一貫性にこそ魅力があったはずなのにとも思う。もっとも、禅の公案でふっきれてからは本来の竜崎に戻り、物語もまた怒涛の進展を見せる。小説は「急」ばかりでは面白くなく、「序・破・急」あってこそか。
2022/05/12
ehirano1
竜崎署長は、グレート奥様から「こんな唐変木見たことない」と言われてしまいましたよ(爆笑)。“ミスター原則”の竜崎もジェラシーにここまで苦しむとは思わなかったのでしょうね。恐るべし、ジェラシー。
2018/01/07
zero1
「変人」竜崎も人間だった!女に惚れ自分を見失うって中学生かお前は!シリーズ第三弾。米国大統領来日で方面警備本部長に任命された竜崎。この人事は何かの陰謀か?恋で眠れない、食欲がない。しかも米国の警護官は不審者を見つけ空港を封鎖しろと迫る。一方、戸高は事故後に不明となったトラック運転手を単独で追う。答えはどこかにある。再読でも後半のスピード感は爽快!妻の冴子はこの巻も鋭い!彼女は警察庁の秘書官だったらさぞかし優秀だろう。警察小説でこんなに笑えるのは他にはない。思い切り楽しめた一冊。次はスピンオフ「初陣」。
2018/11/20
stobe1904
【隠蔽捜査③】米大統領の来日が決定し、所轄の署長にも拘わらず第二方面警備本部本部長に抜擢された竜崎だが、そこには竜崎の失態を望む人事の気配が漂う。日本人によるテロ事件の兆候を先乗りしたシークレットサービスのメンバーがつかみ、竜崎含め不審者の行方を追いかけるが…。今回は事件の重責や軋轢だけでなく、竜崎の元に警察庁から派遣された女性キャリアに恋煩いをして、仕事に集中できない竜崎。万事につけ論理的に考え、合理的に行動する竜崎が高ぶる恋心で乱れてしまうとは、何とも人間臭い一面を楽しめる作品だった。★★★★★
2023/04/27
ノンケ女医長
信念を貫き、国民のため悪事に立ち向かう。類まれな決断力と揺るぎない冷静さを自他共に認めていたはずなのに。竜崎警視長の心をみるみる奪ってしまう、キャリア女性警察官僚が登場。美貌と、溢れる心遣い。頭脳明晰で体力もある。畠山美奈子の一挙手一投足に反応し、仕事が手につかなくなってしまった竜崎の心理描写に、心配した。畠山が竜崎の補佐役に任命された理由は、後の「隠蔽捜査3.5」で明らかになるが、警察組織はどこに地雷が仕掛けられているか分からないところだと、とても怖くなった。
2022/12/11
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